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青森県出身の松山ケンイチが津軽弁まるだしで大爆発です。
松ケンが演じるのは「町の変わり者」である陽人。彼がひとめぼれしたのは保育士の町子。彼女は恋人を亡くし、東京から青森までやってきた。強引なアタックに目もくれない町子。しかしあることがきっかけで陽人に奇跡が起きる。
なんとも複雑な感情に支配される導入部です。おそらく陽人には何かしらの病名がつくのでしょう。母親も、医師も、農協の職員も、時には陽人の力になり時には突き放し、身内として一定の距離感を保っています。しかし観ている側としては、いきなり陽人のスタンドプレーを目の当りにしてすぐ彼の状況に気づくものの、どう受け止めて良いのかわからない。倫理観は彼への不快感を否定する、しかし松ケンはせいいっぱい素の陽人を演じている、それは後々変身した陽人とのギャップとして活きてくるわけですが、ここで陽人のキャラクターをなんらかのかたちで受容できなかった時点でこの作品と私との間に最初の溝ができてしまったのだと思います。
生意気な子ども、葬儀の風景などは同じく田舎を舞台にした『松ヶ根乱射事件』のようなねちっこさがあります。麻生久美子と変化後の陽人がふたりで自転車を押しながら歩く映像などは、本当のラブストーリーのような都会的美しさがあるのですが、この作品を観ていると清濁が次々と入れ替わる不思議な感覚に包まれます。
しかしどちらかというと濃いのは「濁」のほうで、なんとも胸の悪くなるような描写が多く、特にラストシーンは唾棄したくなるほどに不快でしかありませんでした。
制作した側にはもちろんなんらかの意図があり、脚本にもそれを匂わせるような言葉がたびたび出てくるのですが、それをなんともウルトラミラクルなかたちで表現するあたり、特殊な感性の持ち主なのだろうと思います。まあ、今後の作品には注目していきたいと思います。
町子の元彼である「死体」が、首なしであるにもかかわらず異様なオーラを放っていると思ったら、ARATAが演じていたのでした。ナルホド、個性派の中でも群を抜いて個性を放っていた松ケンと対峙していても、首がなくても、負けず劣らずの存在感でした。
評価:★★★☆☆