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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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ちゃんとしたおせち料理のないお正月は毎年のこと。

 

作ってみたいなあとは思うのですが、「食べたくない」と言われるものを作っても仕方がないと思うので。

あれは、昔砂糖が高級品で甘味が希少価値だったのと、三が日は家事労働を休むためという意味があるそうなので、現代にそぐわない食べ物であることは重々承知なのですが、やはりお正月という雰囲気を味わうためには必要であるような気がするのです。それぞれに意味のある食べ物を並べて新年を祝うという伝統文化でもあるわけですし、三日間は無理だけど一日くらいならお正月気分を味わうために食べてみたいと思うのですが。

 

黒豆と金柑の甘露煮が大好きでした。

黒豆は母方のおばあちゃん、金柑は父方のおばあちゃんの。

おととし、おばあちゃんの作った黒豆をタッパー一個分もらい、ひとりで毎日のようにぱくぱく食べていました。

金柑は幼い頃おばあちゃんの家で食べた味が忘れられなくて、次の年母に「作ってー!」と頼み込み、しかし母のものはおいしくなく、「おばあちゃんのがいい!」と今思えば嫁としての母の気も知らず一蹴した残酷な娘でした。

 

作り方を教わっておけばよかったな、と今となっては思います。

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