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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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男女それぞれトップ6による最高峰の戦い。
男子は、ディフェンディングチャンピオンの羽生結弦選手が連覇を決めました。
中国大会の事故から、よくここまで持ってきたものだと感嘆しか出てきません。
当初計画していた構成を変更し、さらにミスもあって完璧な演技とは言えなかったものの、練習不足で体力がなく、痛みも残っているであろうことに加え、リンクに立つ恐怖も少なからずあったのではないかと思います。しかしこの選手の滑りには、いつもいつも魂を削り取っているような気迫がある。それをよりいっそう感じられるようなスケートでした。
オリンピックチャンピオンになった翌シーズンには休養する金メダリストが多い中、試合に出場することすら驚きであるのに、羽生選手のすごいところは技術をさらに進化させていることです。3アクセル2本を後半に盛り込むこともさりながら、瞠目したのはつなぎの濃密さ。ジャンプがパンクしても転倒してもなお高得点を叩き出せる、おそらく現役選手は誰にも真似できないであろう、驚異的なプログラムです。これが完成した暁には300点も夢ではない。この細身の身体のどこにそんなパワーが潜んでいたのであろう、ここ数年の超高速の進化はひとりだけ進む次元が違っているようです。
と、ここまで思考して、やはりたどりつくのは羽生選手が怪我していなければということから、怪我の現場である6分間練習の問題点です。選手同士の追突はこれがはじめてではないし、まして男子も女子もスピードが重視されている時代。競技時間はかかりますが4人ずつに減らして、安全性を高めるべきではないでしょうか。
銀メダルに輝いたのは地元スペインのフェルナンデス。SP5位からの巻き返しは見事でした。3位はロシアのベテランボロノフ選手。若手のコフトン選手からもロシア男子に脈々と受け継がれる貫禄を感じました。町田・無良両選手は少し残念でした。町田選手は卒論との両立で体力的に厳しかったようです。
しかし個性の違う3人の日本人選手がトップ6の半分を占めたというのは、やはりまだまだ日本男子の層が厚いことの証明だと思います。

さて一方の女子。
日本女子の連続出場記録ストップが取りざたされましたが、結局は繰り上げで本郷選手が出場。
高身長と長い手足という、他の日本人にはない武器を持っているのに、いつも自信なさげな猫背で滑るのが気になっていました。今季はそれが改善されて、外国人に見劣りしない迫力のあるスケートができるようになっていました。またロシア大会で優勝したことでますます自信をつけたのか、堂々と演技するようになり、シーズン中にワンランク、ツーランクとスキルアップしていったように思います。主力選手の引退や休養で注目度が下がっている今季。経験はライバルたちを引き離す大きな武器となるでしょう。
女子フィギュア界をすっかり席巻するようになったロシア勢。今大会も4人を送り込む今や飛ぶ鳥を落とす勢いです。しかも全員が異なる個性を持ち、見ていて飽きません。ロシアのナショナル大会はさぞや見ごたえがあるだろうなあと思います。
優勝したのはトゥクタミシェワ。バンクーバー五輪後彗星のごとく現れフィギュア界の勢力図を塗り替えたスケーターが怪我による不調から復活しました。ベテランのようにこなれた空気を醸し出す迫力と貫禄は健在。この年齢であれだけ濃密なボレロを踊れるのは彼女だけでしょう。
「若くない」との発言を聞いた際は(゚Д゚;)となってしまった15歳のラジオノワ。軽やかで華やかなスケートは年相応ですがその技術力は年齢を遙かに凌駕します。ソチは年齢制限のため出場資格がなかったかと記憶していますが、もし彼女が枠を争っていたら金メダルは彼女が手にしていたかもしれません。
繊細で上品なポゴリラヤのスケーティングは、ジャンプやスピンが流れに乗っていて、技術力の高さもとりわけ意識することなく、質の高いバレエを見ているかのようでした。ロシアらしい芸術的な滑りで魅せることのできる選手だなあと感じました。
今季はやや精彩を欠いているリプニツカヤは、成長期とエッジ矯正の壁にぶつかっているようです。それでも指先まで凛として気品のある演技は彼女ならでは。キャンドルスピンからは目が離せません。オリンピックでは世界を沸かせた才能も、ロシア勢の中では追う立場。一皮むけた姿を楽しみにしています。
ベテランだって負けてはいない、とばかりに意地を見せたワグナー。アメリカのスケーターならではの力強さと勢いある演技は、やはりフィギュアを楽しむ上でのひとつの要素でもあります。今回怪我で辞退したゴールド含め、アメリカ勢もまだまだロシアの後塵を拝するわけにはいきません。

オリンピックが終わり、新たな世界の始まりを象徴する12人それぞれの魅力を堪能したGPF。世界選手権ではどんな色彩が見られるか。来年がいっそう楽しみであります。
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ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
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