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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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こうの史代さんが奈良にやってくる!

と、聞いて、いちもくさんに応募した「古事記を語る講演会」の8回目、「絵で読み解く古事記(神代編)/講師:漫画家 こうの史代」。
当選メールが届いてから、ウキウキとこの日を待ちました。

当日は大雪の降った翌日。溶け残る雪に注意しながら、いざ会場へ。

空いている席に座りかけると、「先生はイラストを描かれながらお話しますので、どうぞ前の方へ」と係の人へうながされ、前列へ。
終了後はサイン会もあるということで、『ぼおるぺん古事記』の一巻を求めて開会を待ちました。

純粋に古事記に興味があって訪れた人がほとんどのようです。先生の略歴や、『ぼおるぺん古事記』の一場面が紹介されると、会場からは感嘆の声が聞かれました。

もちろん作品は全巻通して読んでいましたが、あらためてそのウラ話を聞いてますます古事記への興味が湧くと同時に、クリエイターとしてのこうの先生の観察眼の鋭さに感服しました。

『ぼおるぺん古事記』は古事記の膨大な登場人物(神様)たちに個性的なキャラクターを与え、その行動ひとつひとつにユニークな意味を持たせ、「神様」なのに「生身の人間」のように生き生きした神々たちの物語を視覚的に感じることのできる物語に仕上がっています。

硬質な原文は叙事的で、具体的な外見や世界観、登場人物の感情の記述はほとんど見られません。だからこそ、『古事記』を読むことは、読み手の想像力がふくらみ、自分なりに肉づけできる楽しみがあります。
最初は、こうの史代さんがなぜ『古事記』を描いたのか、不思議でした。
ですが『古事記』には歴史ものにはつきものの「史実」や「時代考証」の制約がなく、自由に表現できると語ったこうのさんの言葉に納得しました。
二次元独特の表現力に突出しているこうのさんが『古事記』に惹かれたのは必然だったのでしょう。

『古事記』を読むにあたって印象的なのがオノマトペ。日本語は世界的に見てもオノマトペが多い言語だと言われますが、その原点はもしかしたら『古事記』にあるのかもしれません。古代人の表現力の豊かさには感心します。現代では使われない擬音(たとえば「塩を《こおろこおろ》にかきまぜて」)も、なぜか頭の中でなんとなく感じられてしまう。

紙の上で無限の世界を表現するこうの史代さん。漢字だけの文章で神々のクニを作り上げた稗田阿礼。
こうの先生は「稗田阿礼は女性だと思う」と言っていました。なぜなら、『古事記』には変な女が多すぎるから。男性が女性を描く時は一種の理想像として登場させることが多いが、女だからこそ同性を変人にすることができる。ナルホドなあ、と思いました。

こうの先生らしい素朴で作品の愛に満ちたコメントの数々に、外の寒さを忘れてしまうほどあったかくて笑いの堪えない講演会でした。
待ちに待ったサイン会。なんとイラストも入れてくれました! 前の人は因幡の白ウサギ。自分のは何かなあ、と期待したら「こっこさん」でした。目がキランと光っていました!
家宝にします( ;∀;)

また『古事記』を読んでみよう。
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ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
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