『お義父さんと呼ばせて』
個性的な家族の面々となんともキュートな中年オヤジの組み合わせ。さらには回を追うごとに、俳優陣の好き勝手度合いが増していくイタすぎない笑い。誰も傷つけず不安にもさせない、どうやってハッピーエンドに持っていくのかだけが気になる、一週間のオアシスのような作品でした。
最初からみーちゃん大好きのブレないたもっちゃんに対し、紀一郎がどうブレていくのかが見どころでもありましたが、家族の中に巣くう問題をたもっちゃんがひとつひとつ解決していく描写が自然で、またいつしか保を受け入れていく自分をようやく認めるラストの紀一郎の演技もさすがでした。スタイリッシュ土下座は、ふたりの配役が逆だったら絶対に生まれなかった歴史に残る名シーン。
いまだ大河内教授の印象が強い(『だから荒野』の被爆者役も)品川徹のハイカラじいちゃんも斬新でした。やはり紀一郎とは親子なのだな…と。ワンコの太郎に至るまで、花澤家の面々はぴったりハマっていましたね。
ラストの結婚式は「まさか!」のオチでしたが、スペシャルドラマに続きそうな気配だったので、期待がふくらみます。
『ナオミとカナコ』
女ふたりが企んだ、「おいおい」とツッコミどころ満載の犯罪計画。陽子や銀行員に追いつめられていく姿が迫真に迫っており、週を追うごとにハラハラ度合いを増していきました。達郎のどぐされ具合にナオミとカナコを応援したくなる、しかし罪は罪ですからこのままで済むとは思えない。それでも黄色いコートでさっそうと歩く陽子さんが恐怖すぎて、なんとかうまくいかないものか…と葛藤に苦しむ視聴者の落としどころとしては、こういうラストの描写しかなかったのかな…とモヤモヤしながらも納得するしかない最終回でした。
ドラマは『ナオミとカナコ、そして陽子』といった感じの終盤でしたが、陰のMVPは二役を演じた佐藤隆太だと思います。酷薄なDV男とはまるで正反対のところにいるようなイメージだったので、新境地を拓いたのではないでしょうか。
あと真のMVPは高畑淳子ですね…。広末涼子が完全に素で笑っていましたし、吉田羊も対峙して演じる場面は「苦行」だったそうで。本人も楽しんで演じているような雰囲気が伝わってきました。裏切りそうな空気をプンプンさせておきながら、最後は犯罪者と知りつつ庇ってあげるなんて、李社長ホントいい人のことね。
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