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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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『運命の人』

原作がしっかりしていることもありますが、小難しいテーマも眠くならないスピーディな展開や切迫感ある音楽、キャスティングの豪華さもあって、非常に見ごたえのあるドラマでした。

最終回も重厚感ある2時間でした。沖縄を舞台にした新たな2時間ドラマを観たような、いろいろと考えさせられる内容でした。

米兵による少女暴行事件のあと、8.5万人が集まったという決起集会。凛とした制服の少女の演説は、今でもはっきりと印象に残っています。

今もなお基地問題に揺れる沖縄。ただ純粋に何かをもって善、片方を悪とは定められない、それぞれの正義が複雑に絡まり合った中に、真実は隠されたままです。

報道が真実を暴く機関だと信じる者はいなくなりました。かわりに、仮想空間に溢れた見知らぬ誰かが語る言葉が、自分のあたまを使わなくても簡単に得られる答えとなりました。

だからこそ、いくつもの答えがある問題に関しては、しっかりと自分のあたまで考えなくてはならないのだと思います。基地問題しかり、震災がれきしかり。

あざやかな空、紺碧の海。美しければ美しいほど、沖縄のかなしい歴史が胸に沁みます。

最終回のインパクトがあまりにも強く、それまでの展開をうっかり忘れそうになってしまいましたが、裁判の描き方も迫力があって良かったです。モデルとなった人たちの描き方にはそれぞれ意見があるようですが、とりあえず某新聞社の御大は文句が出るどころか、もんのすっごくカッコよかったです。

真木よう子は女の情念もさることながら、昭和風味がとても美しく、ともすれば悪女になりそうな役を好印象にまとめていました。原田泰造は最近イッちゃっている役が多いですがハマり俳優でしょうか。最終回は突然ものわかりよい男になっていましたが。

そういや、リストラ表に文句をつけるでんでんが、いつそのボールペンで松重豊を刺すかとヒヤヒヤしました。

 

『早海さんと呼ばれる日』

嫁も家族も非現実的なキャラクターばかりで、ひとつ間違えると鼻につきそうな設定を、それぞれの役者が上手に演じていました。期待以上の、良作でした。

ぱっと見は、「仕事もできて性格も良い嫁が、ダメダメ夫家族を更生させる物語」に見えるのですが、その嫁にもたくさん欠点があって、それがちゃんと観ている者にもわかるようになっている構成がうまいなあと思いました。逆に、頑固で怒りっぽくて亭主関白一筋のとんでもない親父である船越栄一郎が、ちゃんと憎めないキャラであることも、さすがの演技力だったと思います。

性格のはっきりした四兄弟もそれぞれ持ち味が出ていました。あんな超美人と突然同居することになったら、やきもきするのではないかと思わないでもありませんが、松下奈緒が超美人でも色気を感じさせない雰囲気だったこともあって、さして気にはならずすぐにしっくりなじみました。毎週の乱闘騒ぎも見ものでしたが、大変だったろうなあ。

要潤のキャラが良かったです。イノッチよりはこちらとのツーショットのほうが、見た目的に優梨子にはお似合いだったような。年下義姉の優梨子を最後まで「ヨメ」と呼んでいるのは気になりましたが・・・。

最終回はうまくまとめたなあという感じで、古手川祐子に抱いた違和感は結局ぬぐえませんでした。優三がせめて大学生だったら、そうは思わなかったかもしれませんが・・・。

オリジナル脚本にしては、ひさしぶりに楽しく観られたドラマでした。

 

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