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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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ドラマを観て泣いてばかりだった春・・・。

 

『アイシテル』

観終わるまで我慢しよう、と思っていた原作をつい読んでしまいました。

原作を超えるドラマはなかなかないものですが、これも原作を先に読んでいたら、そう感じたかもしれません。

ドラマにはドラマの限界があって、この例ならば智也くんが変わってしまった原因。

ちょっと無理があるよなあ、たぶん原作は違うんだろうなあ、と感じていましたがビンゴ。まあこれは仕方ないです。放送できませんから。

少年の成長は早いですから、原作どおり10代後半になるのを待っていたら同じ子役は演じることができません。

最後の涙も、やはり初回から視聴者がずっと追いかけてきた智也くんに流してほしかったので、やや性急な感はありましたが仕方ないですね。

エンディングで流れたクランクアップの瞬間、それまで悲しい表情が多かったふたつの家族の、晴れ晴れとした笑顔が見られて、良かったです。

現実は、きっと、もっと過酷なのだろうと思います。被害者の家族も加害者の家族も。

今までドラマは夢を見るためにあるのだと思っていました。恋や友情、仕事、冒険。現実逃避の1時間でしかありませんでした。

なのにこのドラマでは、常に登場人物の誰かを自分の身に置き換えていました。

加害者の母親になって愕然となり、被害者の母親になって虚ろになり、被害者の姉になって淋しさをこらえきれず、加害者の父親になって自暴自棄になり、被害者の父親になって怒り、家裁調査官になってやりきれない思いを抱え。

苦しく、悲しい時間でした。でもこれは大切な作業でした。

どこか知らない場所で知らない誰かの起こした事件ではないから。

いつか自分の身にも起こらないとは限らないことだから。

ゴーン・ベイビー・ゴーンを観たせいでしょうか。どちらにも深く感じすぎてしまい、つらいです。

 

『白い春』

阿部ちゃんだから失敗はないだろうと思っていましたが、ここまでとは思いませんでした。

毎週毎週泣かされましたね、のぞみちゃんと阿部ちゃんと遠藤憲一に。

当初、いかにも前科者然とした阿部ちゃんの強面が、のぞみちゃんの純粋さによってほぐされて、最終回を迎える頃には、春のようにやさしい笑顔になっているのには胸を打たれました。

ラストは、ベタといえばベタな終わりかたでしたが、それまでがあまりにもすばらしすぎたので、フツーにぼろぼろ泣いていました。

主役級の3人は言わずもがな、まわりを固めるキャストにも手落ちがありませんでしたね。白石美帆が姉と較べられて怒るシーンは『電車男』を思い出す迫力(笑)でしたし、吉高由里子はあいかわらず秀逸な抜け感。遠藤雄弥は『電車男』の時は気づきませんでしたが、普通にイケメンなんですね。

康史が最後、春夫と同じく片足に傷を負ってしまうのが、なんとも皮肉で切ない演出でした。

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