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森の中、草花にかこまれて歌をうたい、動物とともに暮らす少女。
窮地を救ってくれたのは、夢にまで見た王子様。
もちろんひと目で恋に落ちたふたり、
白いドレスに包まれて、花嫁となるはずだったその日、
王位を奪われることをおそれた悪い女王様の罠に嵌り、
プリンセスは魔法の泉の中へ・・・。
と、まあ、ここまでなら、よくあるおとぎ話。
幼い頃にあこがれたフリフリドレスも白馬に乗った王子様も、
今となっては押入れの奥の埃だらけの箱の中。
あくせく働いて、ちょっと恋愛したと思えば離婚することもあるし、
たとえまた心動くことがあってももちろん出会ったその日に婚約するわけではなく、
あくまで理性に守られた中でつつましく関係を築いていくのが現実なのです。
そんな世界におとぎ話のプリンセスがやってきたら・・・というこのお話。
大都会NYで迷子になったジゼルを拾ってくれたのは男やもめの弁護士とその娘。
人間言葉を話す小鳥もリスも存在するはずがなく、
彼女の歌に惹かれて集まるのは、鼠や鳩や羽虫やGから始まるアレ、
歌とダンスに合わせて一宿のお礼に家じゅうのお掃除。
幼い娘のモーガンはまだまだ夢見ていたい年頃、突然現れたプリンセスに興味しんしん。
理性のカタマリのような男ロバートは、現実では破天荒でしかないジゼルの行動に辟易しますが、
彼女の不思議な魅力に徐々に惹かれていきます。
さてプリンセスを追った王子様や女王様の手下、はたまた女王様自身もやってきて、
NYはしっちゃかめっちゃか。
魔法の存在する国にはなかった、強い激情。
魔法の存在しない国での、幻想的な夢の時間。
現実世界で暮らした数日の間に「デート」や「怒りの感情」を憶えたジゼルは、
王子様の目覚めのキスも効かないくらいの「魔法」にかけられてしまいました。
一方、ロバートと結婚するはずだった理知的でキャリアウーマンのナンシーも、
現実世界では聞きようもない甘い言葉の「魔法」にかけられてしまいます。
男も女も、動かされるのは誰かを想う恋心。
たとえ世界は違っても、見つめあう目と目が通じれば、「魔法」はこちらにも存在するのです。
2時間魔法にかけられて、オトナ向けの楽しい飛び出す絵本を観ているようでした。
ちょっと老けたプリンセスも、イノッチみたいな王子様も、想像よりはるかに「現実的」でしたが、
それがNYで違和感なく身近に感じられたので、良かったかもしれません。
女王様一派は絵本そのままでしたけど。
そういえば吹替の女王様役が『花衣夢衣』の母親役の人でした。さすが毒婦・・・。
評価:★★★★☆
<おまけ:ヤスオーのシネマ坊主>
僕は「白雪姫」だの「シンデレラ」だののディズニーアニメには生まれてこのかたまったく関心がないので、おそらくこの映画は今までのディズニー作品をパロディ化しているんでしょうが、そういう観点ではまったく興味がありません。しかし、普通に面白かったですね。おとぎ話の部分との対比を際立たせるために、もうちょっとニューヨークの世界を汚く描いてほしかったんですが、そのへんはディズニーの譲れないところなんでしょうね。公園でみんなが踊り出すシーンなんかは、うざったくてずっとタバコ吸ってましたから。ただでさえ僕はミュージカルが大嫌いですし。しかし、アニメと実写の融合にきちんと意味があるところは良いと思いますね。この手法自体は全然目新しくないですが、「ラン・ローラ・ラン」のように、今まで僕が見た映画ではただ単に映像にメリハリをつけるためだけにアニメ部分を入れてる作品が多かったように思えます。
主役のジゼルを演じていた女優も、最初登場したときには、「何でこんな顔も大して良くない年増の女をプリンセス役で使うんや!どうせこんな映画女子供しか見んし、行き遅れのOLが感情移入しやすいようにあえてババアをキャスティングしたんやろ!」とかなりキレていましたが、不思議なことに、この女優は見れば見るほど魅力的に見えてきますね。僕は今まで、女性の容姿を形容するのに使う「かわいい」は、「不細工な子を傷つけないための言葉」と思ってきましたが、 彼女みたいな女性を「かわいい」と言うんですね。表情が豊かで、愛嬌があって、一緒にいたらこっちまで明るくなるような、まさにこの役にぴったりの女優だと思います。だから弁護士がジゼルを見捨てないストーリー展開にも説得力があります。
ニューヨークで魅力的に映るのはバカ王子よりエリート弁護士なのは当然だから、ジゼルが男を鞍替えするのもごく自然です。最初はえらいド派手なドレスを着ていたジゼルが、最後の舞踏会のシーンでえらい地味なドレスを着てるのが面白かったですね。アホみたいなカッコをしている現実主義者の弁護士との対比もあるんでしょうが、おとぎ話の世界を捨て、ニューヨークで生きていこうというジゼルの意思はこんなドレスを選ぶ時点で明らかでしょう。
というわけでこの映画は設定はバカバカしいんですが、登場人物の行動に無理がないから、オッサンの僕でも全然違和感なく楽しめますね。ラストはちょっと大団円すぎましたが。ストーリーにはあまり関係ないですが、しゃべれなくなったリスのボディランゲージはかなり面白かったです。
評価:★4/(★5で満点)