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舞台は京都の一角、オリヲン座という映画館。
館主である松蔵とトヨ夫婦のもとに、留吉という少年が住み込むところから、
物語は始まります。
松蔵がこの世を去り、トヨと留吉でオリヲン座を切り盛りすることになりますが、
未亡人と若い技師のふたり暮らしは中傷の的となり、映画館の業績は悪化していきます。
過酷に、それでも静かに、淡々と過ぎていく日々の中、
トヨと留吉の間に流れはじめる、秘めた想い。
しかしオリヲン座を守るため、それを告げることは許されない。
蚊帳の中に飛び交う蛍を見つめながら、そっと手を握り合わせるのが、
唯一の愛の表現でした。
言葉を尽くさずとも、体を重ねずとも、
互いの想いは闇に放たれ光を放ち、
命尽くまで心を彩り続けた、無償の愛。
静謐な行間からノスタルジイがしみじみと沁み渡る、
感慨深い作品でした。
和風の美を漂わせる宮沢りえ、素朴ながら芯の強さを体現した加瀬亮、
ふたりのたたずまいが美しければ美しいほど切なくなりました。
松蔵亡きあとのオリヲン座に入り浸るようになった幼なじみのふたり、
原作ではこちらが主人公のようですが、
後年の祐ちゃんを演じた田口トモロヲが今ひとつで、ちょっとトーンダウン。
複雑な家庭環境に悩む子どものエピソードは少し唐突な感があり、
トヨ・留吉ふたりの交流をもっと観ていたかったです。
昭和30年代の映画館、といえば、ドラマ『歌姫』を思い出しますが、
あちらの映画館も《オリオン座》。同じく閉館するところから話が始まります。
あれもすばらしいラブストーリーでした。もう一度観たくなりました。
評価:★★★★☆(3.5)
<おまけ:ヤスオーのシネマ坊主>
「ALWAYS 三丁目の夕日」よりは格段に落ちるものの、それなりにノスタルジックな雰囲気は出せていて、僕好みの映画のはずなんですが、そんなに出来のいい映画じゃなかったから、そこまで楽しめなかったですね。こういうことを言うとまたさや氏に、「本気で人のことを好きになったことがない心の冷たい人間だから、ラブストーリーを理解できない」と言われそうですが、僕は同じラブストーリーでも「エターナル・サンシャイン」は今まで見た映画でベスト10に入るぐらい好きですし、脚本・演出が優れていれば冷血漢の僕にも何か伝わってくるはずなんです。しかしこの映画は監督も脚本家もダメだから、何も感じるものはなかった。ラストの原田芳雄のスピーチや、婆さんと互いに告白するシーンでは、映画終わったら何しようかなあとか考えてましたから。
トヨと留吉のピュアな恋愛はこの映画の大きなテーマの一つだと思うんですが、僕にはこの二人がどういうふうにお互いを好きになっていったのかがまったくわからなかったですからね。何十年も一つ屋根の下で一緒に住み、必死にオリヲン座を守ってきたトヨと留吉に、普通の夫婦以上の強い絆が生まれるのは当然だと言いたいんでしょうが、この映画はオリヲン座の経営にいかに苦労したかという描写も実に中途半端ですからね。前金なしでフィルムを借りたいと拝み倒す留吉のシーンと、トヨがチンドン屋をするシーンと、二人アンパンを食うシーンぐらいですか。そんなに困った感は伝わらなかったですね。これなら僕も今の仕事を辞めてオリヲン座を守りたいぐらいです。
留吉が笑顔で自分の死んだ旦那の帽子を被っている写真を、トヨが松蔵に見せないシーンもありましたが、これなんか結局何の意味があったのか最後まで明かさないですからね。中途半端に思わせぶりなシーンを入れるなと言いたい。松蔵が特別な思いを持つ作品である「無法松の一生」の使い方も本当にセンスがないし。いくら原作の主人公とはいえ、この映画では存在意義がまったくない離婚しそうな中年夫婦なんかは別に出さなくていいから、何か一つでも伝えたいことをきちんと描けよと思いますね。完全にダレてきた後半に比べ序盤はけっこう見れたから、松蔵を殺さずに、ずっと三人でオリヲン座を守るみたいなシンプルなストーリーの方がなんぼかマシでしょう。オッサンに受けたいから「ALWAYS 三丁目の夕日」みたいな作品にもしたいし、映画マニアに受けたいから「ニュー・シネマ・パラダイス」みたいな作品にもしたいし、女に受けたいからラブストーリーにもしたいし、というのはこの映画の監督や脚本家の才能では無理です。
宮沢りえはなかなかいい役者になりましたね。ただ、この人はやはり痩せすぎてて見ててどこかかわいそうになってくるし、女性としての魅力もないです。せめてあと5キロ太ればきっといい女優になると思うんですが。 加瀬亮もこのぐらいの年齢の俳優の中ではやはり上手な方だなと思いました。主役二人の演技がまともなところがこの映画の唯一褒めれるところですね。
評価:★2/(★5で満点)