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自他ともに認めるアリス好きでした。
もちろん、ディズニーアニメのアリスではなく、ジョン・テニエル画のアリスです。おそらく、これも姉の影響だと思われます。姉の部屋に飾られたピンクのアリスカレンダーがうらやましかったことに端を発したのでしょう。周囲から「絵がキモイ」と言われようとおかまいなし。小学生の頃から文房具のたぐいはアリスで占められ、図工や美術の自由作品は絵画から工作にいたるまでアリスがテーマ。アリスの食玩が発売されたら大人買い。英語力を身につけようと決意した時は、アリスを原文で読むことを目標にしたのですが、難しいらしいので決意しただけで挫折しました(で、『ジェイン・エア』にしました)。ちなみに今現在もアリスの塗り絵(大人用)が家にあります。まだ途中でほったらかしですが。
アリスの世界は奥深く、検証していくとキリがなさそうなので、私の興味はグッズだけで完結しているのですが、その程度のアリスフリークでも興味を持たないわけはない、この映画。
かつての冒険は夢だったと思いこみ記憶もおぼろげなアリス19歳。コルセットもストッキングも嫌いなまだまだレディになりきれない少女に突如舞い込んだ結婚話。現実から逃れたいあまりウサギを追って飛び込んだ穴の先は、13年前に訪れたワンダーランド。赤の女王に支配されたかの国を救うため再びアリスの冒険が始まる。
私の中のアリスは無彩色だったので、ナルホド実際はこんな鮮やかなワンダーランドだったのかと感心。例によって2Dでの鑑賞だったので、映画館ならもっと迫力を楽しめたかなあ。
ティム・バートン作品には欠かせない俳優ジョニー・デップが演じるのは帽子屋マッド・ハッター。彼と三月ウサギのお茶会の場面は、ティーバッグでしか紅茶を飲まない貧乏人の私もついティーポットを買ってしまうほど影響を受けた有名シーンですが、理不尽な言葉遊び(だからこそ原文で読まないと意味がないと思わされた)をえんえんと続けるこの登場人物はアリスの世界観を象徴するような面々です。その帽子屋がアリスとともにワンダーランドを躍動します。冒険を終えてアリスは心の成長を遂げるのですが、同時に帽子屋もアリスに影響を受け、ラストには秘儀のダンスを披露します。
舞台が「13年後」ですから、原作とは別物としてとらえなくてはいけないのはわかっていますが・・・。
アリスの理不尽な世界観に、成長物語という真っ当なテーマをあてはめたら、前者が淘汰されてしまうのは無理ないことかもしれません。が、帽子屋はあのイカレた帽子屋のままでいてほしかったな・・・。
一方、キャラクターとして突出していたのは赤の女王。ジョン・テニエル画ではいかにも怖そうなオバサンとして描かれていましたが、この作品ではみずからの頭のデカさにコンプレックスを抱き、その鬱屈を晴らすために権力を誇示せずにはいられない悲しい女性でした。決して憎めない悪役の魅力がいかんなく発揮されていました。出番は少ないですが、その妹の白の女王も根っからの善玉とは思えない不気味さが光っていました。
しかしいちばん期待を裏切らなかったのはチェシャ猫。アリスの中でもいちばんインパクトが強く好きなキャラクターだったので、割と美味しいところを持っていってくれたので良かったです。関係ありませんが、食玩でシークレットの半透明チェシャが出てきた時はうれしかったなあ。
原作に思い入れのあるあまり、公平な目では観られませんでした。知らずに観たら、おもしろかったのかな。
評価:★★★★☆(3.6)
~ヤスオーのシネマ坊主<第2部>~
最近流行りのハリー・ポッターとかロード・オブ・ザ・リングのような類のファンタジー映画に見れないこともないですが、なんか違う気がします。一応主人公のアリスは白の女王の味方なので、白の女王を助ける話なんでしょうが、どうもこの白の女王も今の生活を気楽に楽しんでいてにそんなに困っているようでもないですしね。また、こういうファンタジー映画では男勇者と姫が出てくるのが王道ですが、女の子のアリスが自分で剣を手に取ってすごい化け物と戦わないとダメなのも普通のファンタジー映画とはまったく違います。アリスの乗っているケモノも元々は敵側にいましたので、それに乗っているアリスはビジュアル的にも違和感があります。
しかし、そういう「他のファンタジー映画とは違うぞ!」という作り手達の意気込みはわかるし、そこはいいところなのですが、映画のテーマ自体が非常に凡庸です。「自分らしく生きることの大切さ」とかそういうのは僕は大嫌いなんですけどね。封建的な社会で周りに流されていたアリスが、穴に落ちて冒険して地上に戻ってきて、急にみんなに説教くさいセリフばっかり言い出すのを見てほんとにヤな奴になったなあと思いました。これで主人公の成長を描いたと言いたいのでしょうが、僕は穴に落ちる前のアリスの方が好きでしたね。ラストも適当に終わらせた感が強いです。
まあ、この映画は子どもも見るでしょうから、ストーリーを楽しむ映画でなく、世界観や映像を楽しむ映画なんでしょうね。ただ世界観も良くできてはいるんですがどうも奥行きが感じられなかった。これならアバターの方がずっといいような気がします。キャラも全然ダメでしたね。ジョニー・デップ演じる帽子屋と主人公のアリスも出番が多いとはいえイマイチ魅力を感じませんでしたし、それ以外のキャラはチェシャ猫以外はほとんどにぎやかしでした。ジョニー・デップは変なキャラばっかりやっているから、もうこれぐらいのキャラでは何も思いませんね。アリスを演じた女優はなぜこんなに大きな役をもらえたのだろうというぐらい良さがわからなかったです。
赤の女王だけ演者も上手かったし設定もしっかりしていましたし唯一感情移入できましたね。妹と違う醜い容姿から性格が歪むのは情状酌量の余地があるし、恐怖政治に関してもおべっかばかり使う側近によって踊らされている面もあるはずです。なぜ善側であろう白の女王は戦いに勝ったとはいえ救いの手を差し伸べず、あんなむごい仕打ちをするのでしょうか。そのへんは謎が残りました。
評価(★×10で満点)★★★★★★