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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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高校生の頃から東野圭吾好きというのは前にも書きましたが、

なぜか年一回、家にある東野作品を読み返しています。

つまり初期の作品は、10回以上読み返していることになる・・・。

そうなると犯人も動機もトリックも、すべてわかっているのですが、

私の読書は内容より雰囲気を楽しむので、その辺はあまり気にしません(365日経つと忘れている)。

 

『放課後』

乱歩賞を受賞したデビュー作。やっぱり文章や展開は若いですねえ。

のちに離婚した奥さんが女子高の教師だったので、その話を参考に書いたらしいです。

私が初期の東野作品を好むのは、

主人公が皆冷めていて変に正義感のないところが共感できるからなんです。

自分も冷めたAB型人間(・・・と言われる)なので。

作者もきっとそういう性格なんだろなーと想像したり。

これが最近の話になると、妙に人間の感情が中心なので、

歳を取って丸くなったのかしらん、とガッカリしているわけです。

これを読んだ当初は自分自身も女子高生だったのですが、

オチには「そりゃねえだろーよ」と突っ込んでしまいました。

周りに聞いてみたわけではありませんから、わかりませんけども・・・。

体育祭の場面はびっくりしましたね。やられました。

 

『卒業』

またもや冷めた男が主人公。作品紹介では「心やさしき大学生名探偵」と書かれているのですが、

なにかズレているような・・・。

主人公、卒業したら教師になると言っていたのに、次の作品では刑事になっている・・・あれ?

の、謎は、ずっとあとになってから解けます。

茶道はこれまた元奥さんの知識を借りたらしいですが、わけわかりませんでした。

未だに考えるのがいやなので、適当に流しています。

しかしなんというか、若いよなあ・・・。

 

『学生街の殺人』

ツレ大絶賛。

大学を出てもまともに就職せず、うらぶれた街のビリヤード場でバイトをし、

飲み屋の姉ちゃんと中途半端につきあっている・・・という、主人公の退廃ぶりが憧れらしいんですが。

ぜひとも憧れだけにとどめてほしい。

長い話の割に印象が薄いのは、いいかげん冷めた主人公に飽きてきたからなのか。

終わり方も実にさわやかでいいんですけどねえ。

 

『魔球』

はじめて読んだ東野作品。野球部の高校生が主人公です。

実に痛々しく、切ない話です。

ミステリーとしての評価は高くないかもしれませんが、

初期の東野作品にしては、やや潤いがあって、感情を揺さぶられるところが多いです。

それでも主人公がやっぱり冷めているから(もはや孤高)、独特なんですよね。

デビュー作と同じく高校(こちらは県立高)が舞台ですが、

こちらのほうがよりリアルでしたね。野球部の部員たちの反応とか。

 

・・・つづく

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