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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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好きな作家のひとりに、佐々木丸美さんがいます。

『雪の断章』『崖の館』など、作家として活動された9年間に18作品を残し、

突然筆を折ってしまった、謎めいた作家です。

 

高校時代、母の本棚で偶然見つけた『雪の断章』、

叙情的で清冽な文章に展開される、

殺意の闇のほろ苦さと、少女の甘ったるい恋模様に酔わされました。

まっ白な雪の結晶のような1冊でした。

 

佐々木丸美の世界は、独特です。

ミステリーであり、恋愛小説であり、

かつ超科学、宗教、心理学、さまざまな要素を孕んでいます。

1冊読むごとに新しい魅力を発見し、

だからこそ全作品を読んでみたくなるのです。

 

一度絶版になった18作品は、去年の12月から復刊が始まっています。

 

私が今持っているのは、文庫化されていた8冊と、単行本3冊。

絶版だったため、いろいろと遍歴を重ねました。

母の『雪の断章』『忘れな草』を、実家から失敬し、

孤児3部作の残り1冊である『花嫁人形』をヤフオクで購入。

それにからむ形を取っている『風花の里』を、

近所の古本屋(しかも単行本初版で150円!←その世界ではありえない)で発見。

だけど文庫に入っている館3部作(『崖の館』『水に描かれた館』『夢館』)を、

どうしても読みたくなり、ヤフオクでは1冊ずつ売っていなかったため、

やむなく文庫全8冊セットで落札。

孤児3部作と、『風花の里』単行本は、母に返しました。

そして単行本しかない『罪灯』『恋愛今昔物語』『新恋愛今昔物語』を、

ネットの古本屋で購入(定価の1.3倍・・・)。

 

復刊本は18冊セットで買うと特典がつくらしいです。

11冊、苦労して集めたのに・・・。

もちろん、復刊はうれしいですし、

そのために尽力されてきた方々もいらっしゃるのですから、

それはそれで本当に喜ばしい話ですが。

 

マルミスト。

ちょっと現実が嫌になった時に、

鼻をすすりながら、こたつに丸まって読みます。

青空にふわふわと浮かぶおいしそうなちぎれ雲が実は氷のかたまりだった、

そんな二面性を持つ作品群です。

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