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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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文庫本です。想像をかきたてるタイトルと、メルヘンチックなあらすじにはそぐわないぶ厚さに惹かれて買いました。

ある国のある村、プラネタリウムに置き去りにされたふたご。

星にちなんでテンペル・タットルと名付けられたふたりの少年の、数奇な運命を描いています。

お話は、まるで外国の童話のような世界観で進みますが、

ところどころに決してメルヘンにはない暗さを見せます。

現実世界で感じるような、不信や裏切り、

華やかな世界の裏側にある見てはいけない闇、

未来への希望と諦め、強さの裏返しの弱さ、許される嘘。

ふわふわしたタッチの背に隠したナイフで、グサリと胸を突き刺します。

かなりの厚さながら、ラストまで一気に読みました。

なんとなく予想していた展開ながら、最後は涙が止まりませんでした。

夜明けの空、消えていく星、あふれだす光を感じました。

ひさびさの、これはと思える一冊です。

 

去年、奈良の山奥にあるプラネタリウムに行きました。

月の明るい夜で、残念ながら星空は仰げませんでしたが、

天体観測館から見た木星は、マーブル模様でとてもかわいかったです。

いつか土星の輪っかを見てみたいなあ。

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