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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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<ヤスオーのシネマ坊主>

 結局主人公の母親が工場で事故で死んだのは、本当に工場の事故で死んだのですね。ここは絶対に伏線になると思ってずっと考えていたのですが、まったく何もありませんでした。主人公達が撮っていたビデオにも、後半まで引っ張るほどたいしたものは映っていないですね。あそこまで引っ張るなら多少のどんでん返し的なものを入れないとダメです。主人公達の理科の先生は、20年前にエイリアン研究チームに入っていたという設定ですが、本当に大した情報を持っていない人ですね。だからこそ20年も普通に先生をやっていたといえば、そのとおりなんですけど。

 あと、人間をバリバリ喰っていたエイリアンはただ自分の星に帰りたかっただけなんですね。ということは悪者は軍隊の方ですか。こういう陳腐な設定になっちゃうと僕はもうダメなんですよ。子どもも楽しめる映画であってほしいということであくまで善悪をはっきりさせたいというならば、主人公の身近に黒幕を一人ぐらい入れても良かったのではないでしょうか。

 けなしてばっかりですが、前半は面白かったですよ。僕はちょっと用事があって開始から40分ぐらい観ていったん止めたのですが、前段落で述べたような大きな風呂敷を広げられたその時点での評価は満点近いです。さや氏にも「こんな面白い映画何でyahoo映画の評価(たしか平均3点ぐらい)低いんや。誰が何と言おうとおれはおもしろいと思うよ。」と言ったのですが、終わってみれば人々の評価が正しいとはっきりとわかります。

 ただ、こういう後半明らかに失速する映画は評価がどうしても低くなりますが、前半の風呂敷だけでも見る価値は十分あります。また、少年少女たちの映画を作る様子やちょっとした恋模様の描き方も上手です。主人公の父親が開始早々でヒロインの父親ともめているのですが、ああこれはおそらく主人公の母親の事故に関係あるなと誰でもわかるので、このへんの人物の絡まし方も上手だと思います。結局後半で父親二人は大した理由もなくもめていることが分かり、大した理由もなく和解してしまうんですけど。

 

★6(10点満点)

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ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
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