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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロが製作に携わったダークファンタジーです。

孤児院で育ったラウラは、長じてから夫とともにその屋敷に再び孤児院を作ります。

彼女にはシモンという息子がいます。ただし、実子ではありません。しかしシモンはその事実を知らず、HIV陽性のために薬を飲んでいます。

病気のため友達がおらず「想像遊び」が大好きな息子のことを夫婦は深く愛していましたが、孤児院の披露パーティーのさなか、彼は屋敷の中から姿をくらましてしまいます。

行方不明となったシモンの生存は、持病のこともあり絶望的と見られていました。しかし諦めきれずに彼の姿を追い求め続けるラウラ・・・。

冒頭から提示されるたくさんのファクター。そのひとつひとつが作品後半の重要な鍵となります。伏線の張りめぐらしかたは見事でした。

子どもの想像力は無限。

私も空想ごっこが好きな子どもでした。そしてやはり、空想の中に存在する友達の話を家族に話していたそうです(まったく憶えていないが・・・)。

しかし今の私はシモンではなく、むしろラウラに同調してしまいます。

海よりも深い愛情を子どもに注ぐのは母と名乗る女であれば誰しもが同じこと。血の繋がりがあろうとなかろうと、シモンを想うラウラの気持ちは、痛いほど伝わります。父もまた子を愛していたでしょう。ですが孤児であり親の愛を受け継いでいないラウラが自己犠牲的なまでの愛をシモンに注げるのは、やはりそれが男よりも女の心に生まれつき深く根ざしているからなのだと思います。

霊視に頼る場面は、そこだけファンタジーの要素を欠いてしまうので少し興ざめしましたが、観方によってはそれもまた真実を突いている箇所であり、非常に緻密でかつ心情に訴える展開が多く、最後の真実が明らかになるくだりでは清冽な感動を憶えました。

賛否両論のラストは『パンズ・ラビリンス』でも使われた手法ですが、やはり、ハッピーエンドなのだと思いたい。

邦題どおり、母の愛は「永遠」に昇華したのです。

評価:★★★★☆

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