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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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29世紀の地球。

人間はゴミの星と化した故郷を捨てて宇宙に避難し、残るはゴミ処理ロボットのウォーリーただひとり。

誰もいない地球で黙々と働き続ける彼の前にある日、巨大な宇宙船が着陸する。降り立ったのは最新ロボットのイヴ。その日から、ウォーリーの世界は転変する。

オープニングでいきなり提示される絶望的な未来の地球の姿は、環境問題、とか、未来への警鐘、とか、いろいろなメッセージがあるのかもしれませんが、それはあくまでウォーリーの孤独な姿を強調する要素でしかありません。

気の遠くなるような時間をひとり過ごしてきた彼が、突如として現れた「仲間」にひと目で恋に落ちてしまうのも無理からぬこと。

ウォーリーはアノ手コノ手で彼女の気を惹こうとしますが、イヴの興味はどうやら別にあった模様。

そして舞台は遥か宇宙へ。

ロボットですから、人間の言葉は単語程度。会話らしい会話もないのに、ウォーリーが恋に浮かれる様子や、おっちょこちょいな彼へのイヴの苛立ちがきちんと伝わる演出には目を瞠ります。

太陽電池と簡単な基盤で動くウォーリーはゴミに囲まれて暮らしているだけあって汚染物質に覆われ薄汚れています。一方最新型のイヴは空も飛べるし攻撃もできます。ウォーリーがただ飾っていただけのルービックキューブをいともたやすく完成させてしまうほどの高性能ぶり。その差は較ぶべくもありません。大金持ちでエリートでアクティブなお嬢様にちょっととろくさい使用人の息子が恋をするようなものです。

しかし恋のチカラを前に、身分は関係ありません。

純粋で一途なウォーリーに、いつしかイヴも心を開き、ついには手に手を取っての逃避行(主に守られ役のウォーリー)。無機質なフォルム同士のあたたかいココロの交流。ロボットに支配されていた人間たちもついにその足で立ち上がり、殺伐としたオープニングとは一転、最後にはディズニーらしい大団円が待っています。

手に取るように伝わるいきいきとした各キャラクター、SFなのに突拍子なくない物語展開、上質なラブストーリー、

不覚にも泣いてしまいました。

・・・が、

そんな感動をブチ壊しにするのが、アレです。

そりゃー、核戦争で人類が滅んでも生き残るとは言われています。

でも、ウォーリーの唯一の友達って言っても、アレはないでしょ。

映画では観たくないですよ。

しかも色もカタチも動きもリアルだし。なんの可愛げもありゃしません。

アレが出てくる場面は目を細めて、焦点を合わさないようにしていたのですが、

忘れた頃にやってきて、大失敗。

それさえなければ・・・。

評価:★★★★(4.6)

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