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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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『変身』

この本を手にとったのは、約10年前。2冊目の東野圭吾でした。

読後の衝撃といったらもう半端ではなく、

「この作家すごいよ!」と周囲に宣伝してまわったものの、

「ハァ? 東野? 誰ソレ?」という反応ばかりで、

どうしてこんなスゴイ作品が売れないんだと、悔しい思いをしたものです。

それが今や、日本のミステリー界を代表する直木賞作家に・・・。

嬉しいやら、哀しいやら。

それはともかく、この『変身』ですが、

玉木宏主演ということで、まったく期待はしていませんでした。

で、観終わってみても、やはり期待値どおりの作品にしかなっていませんでした。

玉木宏は割と好きな俳優です(顔が)。

『のだめカンタービレ』はハマっていたと思います。多分、性格がコメディ向きなのでしょうね。

でも、やはり顔はダントツ二枚目です。

どこをどうとっても、冴えない内気な青年には見えません。

また、母親や妹に屈折した愛情を抱える殺人犯にも見えません。

この作品の醍醐味は、純一→京極への心理的変化だと思いますが、

ほとんど表現できていませんでした。

まあ、2時間の間に詰め込みすぎなのですが。

どうやら、監督はこの作品をラブストーリーとして作りたかったようですね。

それでもなんだか中途半端なんだよなあ・・・。

もともと、この作品を映画化することに無理があったのですよ。

評価:★☆☆☆☆

 

『バッファロー’66』

主演のヴィンセント・ギャロは、この映画の監督・脚本・音楽も担当しています。

そのほかにも、画家やレーサーなど多彩な活動を行っているマルチ俳優です。

初監督作品であるこの映画は、彼のアーティスティックぶりが存分に発揮された一品です。

まず、映像美。《赤》が、あらゆる場面でアクセントとして登場します。

カメラワークも個性的。

女優が突然タップダンスを踊り出すところも、わけわからないながら幻想的です。

クライマックスで流れるテーマ曲も、非常に印象に残る優れた作品。

その場面の撮り方は、個人的にはあまり好きではありませんでしたが。

終わり方も良かったです。が、最後のシーンは不要な気がしました。

ギャロの相手役を演じたクリスティーナ・リッチは、

全然気づかなかったのですが、『アダムス・ファミリー』でウェンズデイを演じた女優さんでした。

ムチムチなのにお色気というよりは母性的。

つっぱってるくせに実は臆病者で情けない主人公を包みこむ、役にはぴったりです。

いい成長をしたな、と思いました。

また、ギャロはどうやら嫌煙家のようです。

この映画には、煙草を吸うシーンが一度も出てきません。

それどころか、あえて禁煙席に座ったり、禁煙ルームに泊まったりします。

俳優が煙草を吸うシーンをカッコイイと思い、

それを真似するがごとく煙草を吸っている男どもに、

ぜひとも! 観て欲しい。

評価:★★★★★

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ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
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