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ネズミらしからぬグルメなレミーは、名シェフのグストーをこよなく敬愛しています。
ひょんなことから家族や仲間とはぐれたレミーがたどりついた先はパリの街中、
かのグストーが経営していたレストラン。
彼自身はすでにこの世を去り、今は新しいオーナーがグストーの名を使って金儲けを企んでいます。
折しも厨房では、雑用係・リングイニがスープの鍋を倒してしまい、
料理をまるで知らないリングイニの無茶なその場しのぎに、
見るに見かねたレミーがその手でスープを作りかえたことから、
ふたりの奇妙な「共同作業」が始まります。
ところで、実家の天井裏にはネズミが棲んでいました。
いつも走りまわっていて、時には野良猫たちと追いかけっこ、そのたびにミーコとマイも大興奮。
だからネズミという言葉に抵抗はないのですが、
マンションの最上階に下宿していた友人の話(キッチンとのガラスごしにご対面)や、
職場のビルの別フロアにネズミが出たという話(机の引き出しを開けたらチュッ)を聞くと、
実際に遭遇したことがないだけに、やっぱり怖いです。
レミーたちはアニメなのでかわいくデフォルメされていますが、質感は割とリアル。
同じリアルでも、『動物のお医者さん』の砂ネズミはかわいかったのですが、
しっぽのあたりはちょっと引いてしまい、二階堂の気持ちがよくわかりました。
しかもドブを走りまわったネズミが料理をするのですから・・・。
ちゃんと手を洗ったり、全身消毒したりするとはいえ、やはりネズミですから・・・。
いやいや、そんなことを考えてはいけません。これは夢を与えるディズニーアニメ。
グストーの息子とは到底信じられないダメ男のリングイニですが、
帽子の下にひそんだレミーのおかげで、パリ一のシェフの座に躍り出ます。
悪役オーナーを追いだして店を取り戻し、仲間の信頼はおろか恋人までゲット。
鼻高々のリングイニと陰の立役者・レミーの間に溝が生まれるのは当然のなりゆき。
やがてネズミの存在は店員の知るところとなり、彼らは店を去っていきます。
ひとり絶望におちいるリングイニを救ったのは、レミーとその仲間たち。
和解にいたる経緯はいかにもディズニー、笑顔がこぼれます。
話のテンポも良く、劇中音楽もさすがの出来です。
リングイニと指導係コレットとの恋愛は唐突で蛇足な感がありますが、
ディズニーに恋のエピソードはつきものなのでしょうか。
「美人」だけど男社会で生きていくため「鼻っ柱が強い」ヒロインはややベタですが、
主人公がいつまでたってもヒーローにならないというのはめずらしい。
結局リングイニはグストーの跡を継げず、
また名シェフにもなれませんでしたが(名ウェイターにはなれたか?)、
レミーとその仲間たちとともに、新しいレストランを開拓します。
おいしい料理を食べた時、誰しもが笑顔になる。
皆が笑顔で、幸せになるラストはとても心あたたまりました。
評価:★★★★☆
<おまけ:ヤスオーのシネマ坊主>
さすがディズニーの映画だけあって、ストーリーが分かりやすく、テンポも良く、誰でも楽しめる映画に仕上がっています。展開ははっきり言ってベタベタですが、ディズニー映画の場合はそのベタさが見てるこちらに安心感を与えてくれますね。不衛生なイメージがあり、厨房に絶対にいてはいけないネズミが最高の料理を作るというプロットも面白いです。正直そんなに好きな映画ではないんですが、完成度の高さから★3未満は付けれないです。
ただ、同じピクサー制作作品の「モンスターズ・インク」が完璧と言ってもいい出来なのに比べると、この映画はところどころ「あれ?」という部分がありますね。例えば、さや氏も言ってますが、リングイニとコレットがなぜにお互い好きになるのかがまったく分からなかったです。不器用なリングイニがひたむきに料理に打ち込んでいる姿を見てコレットが感動したとか、オーナーに無理難題を押し付けられて二人が力を合わせてそれに立ち向かったとか、相手のことを好きになってしまうような描写がまったくないですからね。この二人はよほどの美男美女なんでしょう。間違いなく心の絆は生まれてないでしょうから、ちょっとしたことで今後すぐに別れると思いますけどね。
あと、リングイニの父親の名料理家グストーは「誰でも名シェフになれる。」という言葉を残していますが、この言葉を素直に解釈すると、才能がなくても頑張れば誰でも夢がかなうということでしょう。しかし彼の息子のリングイニは、自分は才能がないとハナからあきらめてしまって、まったく料理の腕を磨く気がありません。たいていの人はこの言葉をネズミというハンデを持ちながら名シェフになっているレミーに当てはめ、彼の頑張る姿を見て感動してるんでしょうけど、彼はネズミ社会でも毒見役として頭角を現していた有能な男ですから、環境さえ整えば結果を残すのは当然です。僕はもうちょっとリングイニにがんばってほしかったですね。親父の思いを引き継いでいないのに、財産だけはしっかりもらっている彼の姿は情けなかったです。この財産が引き継げたのもレミーが頑張ってグストーの遺書をオーナーから守ったおかげというのもさらに情けないです。
こうして見てみると、リングイニの存在がこの映画に対してすっきりしないものを残しているんですね。「モンスターズ・インク」は登場人物の感情の変化にまったく無理がなかったので、こちらもきちんと感情移入できるから素直に最後の結末に感動してしまいます。もしかするとレミーのすごさを際立たせるために、わざとリングイニをダメに描いているのかもしれないですが、この映画はレミーとリングイニが二人主役みたいなものですから、百歩譲ってリングイニが料理に対してひたむきさがないとしても、それに代わる彼だけの魅力がほしかったですね。感情移入できないキャラクターの視点で話が進んでいくのはやっぱり気分よくないですから。
評価:★3/(★5で満点)