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ロック、ストック
&トゥー・スモーキング・バレルズ
大勢の登場人物さえ把握できれば誰が見ても面白い映画
監督/ガイ・リッチー
出演/ニック・モラン、ジェイソン・ステイサム、
ジェイソン・フレミング
(1998年・英)
ロンドンの下町で暮らしているエディは、カードの腕前には自信を持っていました。ある日彼は、ベーコン、トム、ソープという3人の友人に、ポルノの帝王と呼ばれるギャングのハリーにカード勝負を挑むという儲け話をもちかけます。仲間達はエディのカードの腕を信じ、4人で10万ポンドを用意し、それを元手にエディはカードゲームの会場に乗り込みました。しかし、海千山千のハリーのイカサマにはまってしまったエディは、手持ち金以上の50万ポンドも負けてしまいます。大きな借金を背負ったエディ達にハリーは、1週間以内にカードで負けた金を支払わなければエディ達の指を詰め、それでも返さないときはエディの父親のバーを取り上げると言い放ちます。借金を返すあてのないエディ達4人は知恵を絞り合いますが、これといった名案は出てきません。しかし、エディが住むアパートの部屋の壁から、隣人の強盗計画が聞こえてきたことから、事態は思わぬ方向に転がり出します。
この映画はかなり面白かったですね。第一に、脚本の完成度が非常に高いと思います。2丁の銃と麻薬と大金を巡って、主人公達4人組、主人公達を陥れたマフィアとその用心棒、コソ泥コンビ、麻薬の栽培をしている金持ち坊ちゃんグループ、強盗を計画しているグループ、子連れの取立て屋、麻薬王の黒人ギャングとその手下達、などかなり多くの登場人物が入り乱れて、色々な騒動が起こります。
それぞれが自分の思惑で動き、その行動が思わぬところで交錯し、複雑に絡まりあいながらストーリーが進んでいき、ラストはスッキリ、という感じの話で、もちろんラストに向かってパズルが完成していくような面白さもあるんですが、僕が何よりもこの映画の脚本が面白いと思ったところは、それぞれの人間の思惑が微妙にかみ合っていないところです。そのズレのせいで、真剣に何かやればやるほどドツボにはまっていくヤツらもいれば、望んでもいないのに貴重な物を偶然手に入れるヤツもいる。そのような全体に漂うユーモアがこの映画の個性であり、良さだと思います。
そして、何だかんだいってラストが勧善懲悪になっているところや、登場人物がみんなどこかヌケてるところ、殺人シーンなどの生々しい描写がないところなども、この映画が好感の持てる作品になっている理由だと思いますね。一歩間違えればご都合主義のバカバカしいだけの映画で、特に感動とかはないし、人生にも何の影響も与えない映画なんですが、見た後は非常に気分がスカッとします。
脚本以外の面でも、カメラワークからは作り手側のこだわりが伝わってきますし、音楽と映像の組み合わせ方も素晴らしいです。作品全体のテンポもいいので、面白いだけでなくかっこ良さも兼ね備えている映画だと思いますね。舞台となるイギリスの下町の雰囲気もなかなかいいんじゃないでしょうか。清濁のエッセンスが飽和せずに渦巻いている、混沌とした感じです。こういうところで暮らす人たちは、本当に地に足つけて生きているなあと思いますからね。それを演じる役者達も素晴らしいです。はっきり言って美男子ではないんですが、全員が適役と納得できるぐらいのいい面構えをしています。
まあ、主要な登場人物が今思い出しただけでも20人以上いて、一人一人きちんとキャラクター付けがされていたかというとさすがにそうでもないのですが、その中でも、自分のことは棚に上げて子どもが汚い言葉を吐くとすぐ注意する取立て屋や、本当にマヌケなコソ泥コンビなんかは、ユーモラスでいい味出していると思いますよ。主人公の4人組はあまり目立っていないんですが、「何もしていないのに、自分達があずかり知らないところで何かが起こり、結局はうまいこといった。」みたいな役割でこれはこれで面白いし、いいと思います。
というわけでこの映画はかなり気に入りました。僕はこの映画を見て「パルプ・フィクション」に似ているなあと思ったんですが、その「パルプ・フィクション」よりも好きですね。ちょっときっちりまとまりすぎていて、スケールが小さく見えてしまうところだけがマイナスでしょうか。評価は★9です。
ちなみに僕はこの映画を妹にも薦めてみたのですが、彼女の評価は芳しくありませんでしたね。登場人物が多いので見分けがつかず、誰が何をやっているのかがわからなかったので、結局話もわけがわからんかったそうです。まあたしかに、ボーッと見るには不向きな映画ですね。しかし、登場人物とその相関性さえ把握できれば、男だろうが女だろうが誰が見ても面白い映画だと思いますよ。登場人物は男ばっかりで非常に男臭い映画ですが。
本作で一躍名を成したイギリスの俊英、ガイ・リッチー監督・脚本によるクライム・ムービー。一攫千金を狙う4人の若者を軸に、ギャングやマフィアを入り交じって繰り広げる群像劇を独特のユーモアを交えて描く。巧妙なストーリー展開やテンポある演出に加え、多彩な登場人物が見せる妙な味わいが秀逸。ロンドンの下町に生きるエディはある日、仲間3人から金を集め、ギャンブルに投資するが惨敗。逆にその元締めに多額の借金を背負ってしまう。返済猶予は一週間。途方に暮れるエディたちだったが、彼らは偶然隣人の強盗計画を耳にする。