忍者ブログ
おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

マネーボール

野球大好き、よってもちろんこの映画の原作となった本も読みました。
確か新聞の書評で見つけて、すぐ本屋へ向かいました。
「驚きの野球理論!」と銘打ったその内容に、えらく感動していた相方とは対照的に、自分は「ふーん」程度で読了してしまいました。
ま、簡単に言うと、カタカナばかりの登場人物になじめなかったからです。昔から、外国文学を読まないひとつの理由でもあります。
それともうひとつ、数字が導き出すデータと野球を結びつけるマネーボール理論に今ひとつ共感を憶えなかったから、というのがあります。私は一貫して野球を観る側であり、打った、守った、走ったという結果に一喜一憂し、心動かされてきました。時には数字では圧倒的に不利なチームや選手が強い敵を倒す瞬間を目にして、才能や努力の結実を凌駕するその奇跡を楽しみに観戦しているところもどこかしらにありました。
素人です。ビリー・ビーンが否定した古参のスカウトたち側の人間でもあるのでしょう。
今はその頃とは違い、目に映るものがすべてではない野球の奥深さがわかるようにもなってきました。
マネーボール理論も、今なら納得して話を聞けます。
その頃には時遅く、すでにセイバーメトリクスは時代遅れとなっておりました。学問は日々進化していきます。野球とて同じ、強さを求めるならば同じところにはとどまってはいられません。
その中でなぜか今さら公開されたこの『マネーボール』。
映画作品としては、弱者が強者を倒す一種の下剋上譚でもあり、ひとりの男の過去を克服する人生劇場でもありました。
選手としては大成できなかったが、GMとしてその手腕を発揮するビリ-・ビーン。かつては自分がその立場であったはずの選手たちの人生を電話一本で次々に操っていくビリーに、当初反発心を憶えるピーター。元アスリートらしい負けず嫌いな性格に端を発してGMとして身に着けたビリーの非情さと、選手たちを数字で表現しているはずのピーターが選手の気持ちに寄っているのが対照的で、面白い構図でした。くり返される体温のないトレード話のやりとりが、ラストに引き抜きの話を蹴るビリーのエピソードをより生かしています。
野茂のトルネードにしろ、イチローの振り子打法にしろ、ビリー・ビーンのマネーボール理論と同様に、周囲の反発をくらいながらもポリシーを貫き、そしてそれを結実させました。
何事においても、先を行くのに必要なのは踏み出す勇気。
野球を知らずとも、セイバーメトリクスに共感しなくても、人生の進む先を選ぶ時に必要なものを教えてくれる作品です。
ただやはり、数字では推し量れない奇跡の瞬間を超えるものはどこにもないと思っています。
そして数字と人間の情。両者相いれないとはいっても、動かすもの動かされるのも人間である以上、そのバランスが良い状態を保つ時、真の強さを発揮するのだと思います。野球を見ていて、つくづく思います…。
PR
カレンダー
12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
プロフィール
HN:
さや
性別:
女性
自己紹介:
ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
ブログ内検索
バーコード
ATOM  
ATOM 
RSS  
RSS 
Copyright ©   風花の庭   All Rights Reserved
Design by MMIT  Powered by NINJA TOOLS
忍者ブログ [PR]