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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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昨日の東京マラソン。

オリンピック選考会を兼ねているとあって、朝からさっそく中継を点けました。

 

もちろん、ミーハーは川内さんの応援さ!

 

といいますか、他の選手をよく知らなくて。

マラソンといえば(マラソンだけではないけれど)ここ数年、すっかり女子の方に話題が集中しているせいか、世代交替についていけない感があります。オリンピックの年にしか注目されないからかもしれませんが。

 

結果は、残念でした。

少し前のインタビューでは、「オリンピックに出るよりも、すべてのマラソン大会を制覇することが夢」と欲のないことを仰っていましたが、今年に入ってからははっきりと五輪目標を掲げておられました。

周囲の期待が市民ランナーをその気にさせたのでしょうか。

有名になればなるほど、やりにくいこともあったに違いありません。心ない中傷も存在したようです。実業団に所属していれば、企業が守ってくれたでしょうに。

専門的なトレーニングを積んでいれば、苦手な給水ポイントも克服できていたかもしれません。

ただ、彼が公務員という職業のかたわらで走ることを選んだのは、実業団で得られるのが良い部分だけではないことも知っていたのでしょうね。

 

優勝した藤原新選手も、実業団をやめて無所属で参加したランナーのひとりです。

彼らの活躍が、一流のランナーになるにはあたりまえのように企業に入ってトレーニングを積むという、今までの法則を、どんどん覆していきそうです。

マラソン界の勢力図がそっくり塗り替えられる日も近いのかもしれません。

歴史の深い競技には伝統の重みがある一方、ある種の枷がはめられてしまうことも避けられない事実です。

しがらみと新たな潮流、なんとかうまく調和していけないものかと、部外者は思います。

 

それはまるで、まだ肌寒い都会に春の風を呼び込むような疾走でした。

しなやかに大地を蹴る足、黒いユニフォームさえ鳥のように軽やかで。

その翼は海を越えて、ロンドンまで羽ばたいていくでしょう。

夏、その達成感に満ち溢れた爽やかな笑顔を再び見られることを願います。

 

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