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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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今朝東京で、痴漢をした男が線路を走って逃げて電車が遅れたとか。

あきれた話です。

痴漢をしただけでも立派な犯罪なのに、さらにラッシュ時の電車を止めたわけですから。

 

高校ではほとんどの生徒が電車通学だったので、

ほとんどの生徒が痴漢の被害に遭っていました。

駅員室に突き出した友人は、一躍校内の英雄となりました。

《チカン、アカン》などという広告が出て、

ようやく「痴漢は犯罪である」という認識が広まり始めたのもその頃です。

私が思ったのは、「そっかー、捕まえてもいいのかー」。

ずっと、泣き寝入りするしかないと思っていたのです。

「よっしゃ、来るなら来いや!」と指を鳴らして待ち構えた私。

 

でも、捕まえるって、振り向くことも出来ないぎゅう詰めの車内では、

自分ひとりだけの力じゃ難しいんですよね。

誰も助けてなんかくれません。

一度捕まえようとしてもがいたけれど、逃げられました。

肘鉄くらわせられて。

あの時はさすがに泣きました。

絶対に周囲の人は気づいているはずなんです。

 

だけど自分がその立場だったなら、同じことをするかもしれません。

否、一度ありました。

まだ痴漢を捕まえるという認識のなかった時とはいえ、

目の前で行われている犯罪行為を、私は見逃してしまいました。

思いっきり蹴飛ばしてやったけど、そんなことで被害者は救われません。

かわいそうにと同情して、あるいは自分でなくて良かったと考えて。

これ、イジメの構図と一緒ですね。

悲しくて情けない。

 

今はもう満員電車に乗ることも少なくなりましたが、

不埒な輩は多いし、理不尽な思いをすることも多いし、

心の中で呪いの言葉を吐き続けて、

電車通勤って、本当にストレスがたまります。

 

痴漢で捕まった奴は、

「私は痴漢で捕まりました」というプレートを提げないと電車に乗れないようにすればいいんです。

いいやいっそのこと、もうどの電車にも乗れなくすればいいんです。

自力で通え。

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