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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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『家族狩り』
『永遠の仔』の天童荒太原作で、そちらはドラマも原作もとても良かったので今回も期待していました。
初回は重いな…と思いつつ視聴していたのですが、2話はますます重くなりました。いずれはすべての背景があきらかになるのでしょうが、どの登場人物のバックボーンも救いようがなくて、いたたまれない気持ちになります。家族という単位をもてはやす風潮へのアンチテーゼとして執筆したそうですが、およそ20年前の作品にもかかわらずそのテーマはなおも現代社会に重く響きます。
脇役もさりながら、とりわけ松雪泰子と遠藤憲一の演技力が光っています。伊藤淳史と教え子のシーンがコミカルでシリアスな場面の多い中やや浮きぎみですが、おそらく巣藤の抱える過去にも何か含みがありそうです。

『若者たち2014』
まるで『ひとつ屋根の下』のようなドタバタ兄弟劇。両親を亡くし、若くして職に就き弟妹を養う「あんちゃん」旭。劇団を立ち上げ社会の矛盾と闘おうとする陽、看護師で不倫の恋に悩むひかり、このたびめでたく童貞を卒業した(かもしれない)予備校生旦。塩ビの日除けに平屋にちゃぶ台、プロレスごっこでちゃぶ台のお茶碗がひっくりかえるありさま、いかにも昭和の香りがぷんぷん漂います。でも舞台は2014年。そのアンバランスさが吉と出るか凶と出るか。
古臭さからおそらく視聴率は伸びないでしょう。私自身はその昭和らしさが好きなので、楽しめそうです。
キャストも今風イケメン美女が見当たらず、昭和の空気感を壊さない演技派ばかりで雰囲気に合っています。橋本愛ちゃんも20世紀から通用する面立ちなので違和感がありません。
気になるのは初回の最後で出所してきた暁。因縁あるらしい長澤まさみの存在も、今後どうかかわっていくのでしょうか。
『家族狩り』とはまるで正反対の、家族の絆は大事だよ、というメッセージを全面に出したこの作品。両極端なふたつの物語を、それぞれ楽しんでいきたいです。

『黒田官兵衛』(承前)
おもしろくなってまいりました。
幽閉生活を経た後の官兵衛の表情の変わりようには驚かされました。それまでの官兵衛には岡田くんの甘いマスクもあいまってどこか甘っちょろい雰囲気があり、こんなんで本当に軍師を演じきれるのかという危惧があったのですが、眼光から笑い方からすべてに地獄を見た男の冷たさが漂っていて、わざと甘っちょろくしていたのかなとも感じました。
信長時代がいよいよ終わりを告げます。今まで数々の俳優が信長を演じてきましたが、江口洋介もどうしてなかなか、かっちょいい信長でした。本能寺の変でどのような最期を迎えるのか、これもまたそれぞれの信長ごとに味があって、今回も楽しみです。そして秀吉は、これまたいろいろな演者を見てきたけれどやはり竹中直人を超える俳優はいないなあ、としみじみ思います。『秀吉』の秀吉とまるまる同じだけれど、やはりあの秀吉が魅力的すぎました。どうせならおねも沢口靖子にすればよかったのに。
それにしても岡田くん、松坂桃李くんはイケメンすぎる武将親子だな…。

『花子とアン』(承前)
なんというか、すべてにおいてつまらない作品ですね。演技も、脚本も、演出も、何もかも魅力がありません。花子はいったい何がしたいのか、言うことやることがコロコロ変わるし、朝ドラにはたまにこういう流れの作品がありますが、週ごとのエピソードがあって、一本道だとダラダラしてしまうのであれやこれやと回り道して、土曜日に結局ゴールするとわかりきっているので、「お前らうぜーな、ゴタクはええからさっさとせーや(誇張表現あり)」と言いたくなるのです。
とくにプロポーズを迎えるまでは長かったですね。実話では奥さんから略奪したそうですが、NHK(しかも朝ドラ)的にそれは描けなかったのでしょう。『カーネーション』の糸ちゃんは結局別れたけれど、これは結婚するわけですし。で、不自然にカンもものわかりもすこぶるよい奥さんが生きているうちに離婚させなければいけなかったと。例によってスパンがあるためこの週の土曜日に結婚を決めるまで話を持たせなければいけないので、醍醐さんとの恋のさや当てやら義姉大好き弟の横やりやら入れなければいけなかったと。…まあ、そんな事情を想像させる物語がおもしろいわけがありません。
こんなつまらない話を書く脚本家ではないと思うのですが、朝ドラ向きと、そうでない脚本家がいるということなのでしょう。
それでもなぜ見ているかというと、『蓮子とデン』にまだ少し見ごたえがあるからです。仲間由紀恵と吉田鋼太郎の醸し出す雰囲気はこのふたりで夜の連続テレビ小説を作ってほしいと思うくらいです。国木田独歩の玄孫という龍一役の中島歩も、いかにもこの時代の厭世的な帝大生らしいまるで芥川龍之介のような風貌で、蓮子とのツーショットは当時社会を巻き込んで大スキャンダルを起こしたふたりにふさわしい美しさです。
情熱的でまっすぐな蓮子をどう扱ってよいかわからない、蓮子に対する愛情を素直に表せない愚直で不器用な九州男の伝助の葛藤を、吉田鋼太郎がさすがの演技力で表現しています。実際の蓮子さんは性病をうつされるなど婚家でいろいろとひどい扱いを受けたそうですが、それも朝ドラでは描けないですし、不倫を正当化することもできないために伝助は伝助なりに蓮子を大切にしていて、カケオチは蓮子のわがままにしておきたい、という設定なのでしょう。言動や行動を深く考察すると伝助が全面的に正しいとも言えませんが、これはこれでうまくいっているのではないでしょうか。
というわけで、花子とアンはどうでもよくて、蓮子さんの行く末だけを楽しみにしています。


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ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
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