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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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『お義父さんと呼ばせて』
個性的な家族の面々となんともキュートな中年オヤジの組み合わせ。さらには回を追うごとに、俳優陣の好き勝手度合いが増していくイタすぎない笑い。誰も傷つけず不安にもさせない、どうやってハッピーエンドに持っていくのかだけが気になる、一週間のオアシスのような作品でした。
最初からみーちゃん大好きのブレないたもっちゃんに対し、紀一郎がどうブレていくのかが見どころでもありましたが、家族の中に巣くう問題をたもっちゃんがひとつひとつ解決していく描写が自然で、またいつしか保を受け入れていく自分をようやく認めるラストの紀一郎の演技もさすがでした。スタイリッシュ土下座は、ふたりの配役が逆だったら絶対に生まれなかった歴史に残る名シーン。
いまだ大河内教授の印象が強い(『だから荒野』の被爆者役も)品川徹のハイカラじいちゃんも斬新でした。やはり紀一郎とは親子なのだな…と。ワンコの太郎に至るまで、花澤家の面々はぴったりハマっていましたね。
ラストの結婚式は「まさか!」のオチでしたが、スペシャルドラマに続きそうな気配だったので、期待がふくらみます。

『ナオミとカナコ』
女ふたりが企んだ、「おいおい」とツッコミどころ満載の犯罪計画。陽子や銀行員に追いつめられていく姿が迫真に迫っており、週を追うごとにハラハラ度合いを増していきました。達郎のどぐされ具合にナオミとカナコを応援したくなる、しかし罪は罪ですからこのままで済むとは思えない。それでも黄色いコートでさっそうと歩く陽子さんが恐怖すぎて、なんとかうまくいかないものか…と葛藤に苦しむ視聴者の落としどころとしては、こういうラストの描写しかなかったのかな…とモヤモヤしながらも納得するしかない最終回でした。
ドラマは『ナオミとカナコ、そして陽子』といった感じの終盤でしたが、陰のMVPは二役を演じた佐藤隆太だと思います。酷薄なDV男とはまるで正反対のところにいるようなイメージだったので、新境地を拓いたのではないでしょうか。
あと真のMVPは高畑淳子ですね…。広末涼子が完全に素で笑っていましたし、吉田羊も対峙して演じる場面は「苦行」だったそうで。本人も楽しんで演じているような雰囲気が伝わってきました。裏切りそうな空気をプンプンさせておきながら、最後は犯罪者と知りつつ庇ってあげるなんて、李社長ホントいい人のことね。
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3/29 vsF ●
あー! だからローテ逆だって言ったんだあー!
もちろん、ディクソンでなければ西武戦全敗だったかもしれませんが…。
昨年の初登板でもテラス攻撃に遭い玉砕した記憶の強い西ですが、今年の初登板も見事札幌に散りました。こりゃ、サンデースポーツの勝敗予想のリアル感がますます強まるな…。
点差の開いた6回、ちょっと気の緩んだ吉川を攻めたところまでは良かったのですが、投手交代した相手の隙につけこめなかったことがあとの反撃につながったのでは感じます。左打者のところで左投手から右投手ってね。ここで何かを感じませんでしたかね。打席に立った人は。
オープン戦でスケスケブルペン陣にかすかな希望を抱かせた赤間(とコーディエ)でしたが、しょせんはオープン戦であったか…。大山も昨年までと変わりませんし、やはり向こうが透けて見えるブルペンです。

【西武ファンの意見】
調子の悪かった西川に猛打賞(2打点)。去年は打撃は全然ダメでもはや遊びで打者やってる大谷には3ラン(5打点)。高梨に自信を与え(ピンチで登板、見事にT岡田という元本塁打王を斬って捨てる)、鍵谷には復活のきっかけを与え(2イニング無失点)、本当にオリックスはクソチームですね。長いペナントなので別に負けてもいいのですが、敵チームの選手を育てるなと言いたい。
赤間とかいう奴はただの打撃投手なのが分かりました。こいつと対戦する打者はみんな本当にいいバッティングをしていました。アウトを取れたのは強引に本塁打を狙いにいった中田だけです。
あとさや氏も開幕カードで色々苦言を呈していましたが、T岡田という選手は何なんでしょう。吉川が急に乱れて降板して、2アウトで依然チャンスで打者はT岡田、ここで何を血迷ったか栗山は吉川を降板させ高梨という若い右投手を出しました。2回言いますがこいつは右投手です。おまけに何の実績もありません。T岡田はタイトルをとったこともある左打者です。おまけにあれだけ点差がついていて吉川が回途中で降りたのですから、高梨は準備万端ではなかったはずです。この試合のポイントは間違いなくここです。この試合で唯一一筋の勝利への光が見えた時に、T岡田という選手はその光を打ち消しにいくのでしょう。光が消えたオリックスのその後は散々なものです。あの明らかに左投手がダメそうなボグセビックですら吉川が乱れた時は打っていたのに…。

3/30 vsF ○
試合はほとんど見ることができなかったのですが、ショートが中島でないというだけで落ち着いていられるこの安心感。7回裏、レアードの遊ゴロは前日までなら確実にタイムリーでしたから。ここは福良監督の決断をおおいに支持します(最初からわかっていたやろがい、という本音はさておき)。しかし投手陣はあいかわらずで、この四球祭りはなんなのでしょう。東明は日ハムが苦手だから…ということにしておきたい。サトタツも不調ですし。
打つ方はカヤの外の人が本当に外れましたが、上位打線が好調だけに下位の人は守備で頑張ってもらうということで。吉田正は新人の連続安打記録を狙っていってほしいです。ボグセビックもなにげに全試合打点と仕事をしています。
9回は…うれしいけれど、信じない。まだ信じないぞ…。

【西武ファンからの意見】
この試合は終盤しか見れませんでした。コーディエは何と3凡です。日ハムが積極的に打っていくという西武戦を何の参考にもしていない作戦をとっていました。先発のバースも見たことない新外人なんですがスコアを見るにただのヘボなんでしょう。つまり今日の勝利は日ハムのおかげです。東明もこれもスコアだけ見るに決してよくはありませんから。しかし、また大谷にホームラン打たれましたね。ほんま何してるんでしょう。

(結果)2勝3敗
開幕から二カード連続でビジターというのは12球団でオリックスだけだったのですが、まずまず予想どおり、期待どおりの結果で何よりです。みすみす逃した白星もありますが…。
昨年の2勝14なんとかを思えば贅沢な成績。
オープン戦終盤、あれだけ出なかったタイムリーヒットがぽこぽこ出るようになって打つ方はひと安心ですが、圧倒的な四球数と破壊的な防御率はいかがしたものか。勝ち試合でも、もう少し安心して見られるような転回にしてもらわないと、ファンの胃は秋まで持たないと思われます。


さあ、いよいよ球春到来、待ちに待ったプロ野球開幕。
新監督、新コーチ、新入団、新外人、新ショート…。
あれこれ期待と不安を抱かせる俺のオリックス、2016年はどんな姿を見せてくれるのか?

3/25 vsL ●
あれ? また開幕サヨナラ負け? デジャビュですか? あ、延長12回じゃないのか。あははは。
…( ;∀;)
開幕から試練を与えられるファンはMになりそうだぜ!
金子はひっぱりすぎでした。おととしと違って後ろが期待できない事情はありましたが、球数がかさんでもう限界でしたね。チャンスであと2、3点取っていればもう少し楽に継投できたのかも。西野・吉田の並びと、モレル・ボグセの助っ人陣は頼もしかったです。チャンスを潰した小谷野・糸井のベテランと存在感ゼロのTには落胆。コーディエは…次の機会にリベンジを…。

【西武ファンからの意見】
金子千はさすがというか、到底打てそうになかったので、良く勝てたなあと思う。この試合のポイントは金子千の球数だろう。打てるような球は全然こない(特にチェンジアップはどうしようもない)ので、早く引っこんでもらうしか勝てる方法はない。そして観た感じ全員打てそうになかったし実際打ってないのだが、みんなとりあえず球数は投げさせていた。これが勝因だろうと思う。コーディエはオープン戦のデータを見る限り良かったので以前褒めたのだが、実際見たら全然印象が違っていた。球速のわりにストレートで空振りが取れないので力のある打者には厳しいと思う。


3/26 vsL ●
なに? また逆転負け? 初回5点取って今日は勝てると浮かれたファンを上げて落とすのは得意技? あははは。
…(´;ω;`)
近藤大は初回から飛ばしぎみで西武打線に粘られたこともあったせいか、肩の違和感で予定よりかなり早い降板になってしまいました。大事なければいいのですが。しかし強気なストレートには手ごたえを感じました。サトタツ東明と社会人卒投手の成功ロードを歩んでいってほしいものです。
打線は吉田西野にひっぱられ、いいつながりを見せました(初回は)。ひとりカヤの外の人がいますが。35本100打点に間に合わなくなるよ。
しかし相次ぐ守乱には頭痛を憶えました。守備力の低下は折りこみ済みとはいえ、ニュースの見出しになるほどの失策数はなんとかならないものか…。たった数年でチームカラーはここまで変わるものなのですね。

【西武ファンからの意見】
十亀はこういう奴なので別に驚きも何もない。しかしこの試合もよく勝てたなあと思う。赤間もオープン戦の成績は良かったが実際見たら何のとりえもない右投手だったので、こいつや小松は打って当然として、この試合のポイントはやはり牧田の好投だろう。というか好投過ぎるだろ(笑)。オリックスの打線で、自分が投手だったらこいつは嫌だなあと思うのはここ2戦見る限り西野とモレルで、モレルは牧田がかなりの変則フォーム投手なので初見で打てないというのがオリックスにとってはキツかったなのかなあと思う。まあ何回見てても全く打てない他の打者が一番の問題だが。


3/27 vsL ○
え? 勝ったの? ほんとに? 胃痛と頭痛がひどくて喜ぶ気力が残ってないのですが。おえええ。
…( ̄┳ ̄|||)
活発な打線がどれだけ点を重ねようと、まったく安心できないことをこの二日で学習したオリックスファン。「もっと取れ! 秀岳館みたいに16点取れ!」と拳を握るものの現実はそうもいかず。
しかし小刻みに得点できたことが昨日との違いでした。相手に与えるプレッシャーが変わってきますから。
ディクソンを140球近くまでひっぱるとは思いませんでした。それで失敗したのが開幕戦ですが、四本柱は限界まで行かせるのが酒井コーチの方針のようです。しかしそれが結果的にターニングポイントとなりました(by我が家の解説者)。サトタツも危うげながら乗りきり、平野は完璧。9回はもう忘れよう…スポーツニュースを見ただけで悪寒が…。
カヤの外の人をのぞいては打つ方は心配なさそうです。糸井も攻撃・走塁に遜色なく、復活を信じてよいでしょうか。

【西武ファンからの意見】
ディクソンはあの球数で6回よく踏ん張ったなと思う。敵ながらあっぱれである。それにひきかえ西武ベンチは勝てる試合に郭俊燐なんぞ出して…。結果1点差負けなので、やはり負けに不思議の負けなしである。寝ぼけたことをした方が負けるのだ。それにしてもコーディエはすごい男だ。こんなにハラハラドキドキさせる奴はなかなかいない。金を払ってでも見る価値がある選手である。


それにしてもこの三連戦は四球の多さが再三のピンチを招きましたが、これは西武ドームのマウンドが変わったせいか、それとも投手陣の警戒心が過ぎるのか。イライラハラハラするオリックスファンに対して、我が家の西武ファンは「去年までと西武ベンチの方針が変わった」と断言しました。
ストレートをぶんすか振って痛打をくらい完敗を喫していたのが昨年までの西武戦でした。だからこそタイミングをうまくはずせる金子やディクソンは西武打線に強かったはずなのですが、西武はオリックスのブルペンが弱いところに目をつけ、待ち球をして先発の球数を増やし、早降ろし作戦に出たというのです。なるほど、道理でメヒアやおかわりまでもが初球を見逃し、くさいところはファールにしてカウントを稼いでいたわけだ。まんまとやられました。そういえば今年から橋上作戦コーチが就任していました。まさか田辺監督の指示ではあるまい。

前途多難な開幕カード。今年もやきもきさせられる予感がビンビン。先が思いやられます…。


  翌朝。早く目が覚めたので朝風呂へ。今日は快晴のもようです。

 

朝食でしっかりおなかを満たしてチェックアウト。昨日のバス代と、今日のバスチケットを受けとります。

今日の予定は…晴れているので、熊野古道! 前々回はつり橋を渡ったところで先に行くのをやめた、果無集落へ!

ホテルのそばにあるトンネルをくぐります。

 

天井からしたたる水の音が怖くて小走りに。早くも体力を消耗。



つり橋を渡ります。



おそるおそる。二度目のせいか、少し余裕がありました。

 

林道を進んで、車道に出たところに入口があります。

 

民家と畑の中をしばし登っていくと、良い眺め。

しかし実はまだ前哨戦でした。



ここが本当の入口。

ここからが本番なのです。



熊野古道といえば、石畳。



ずんずん、ずんずん。



終わらない…。

つり橋を渡ったあたりは、身震いするほど肌寒かったのですが、ここまでくると重ね着した上着を次々脱いでしまいました。
ゼイゼイ水を片手に息切れしている横を、「おはよーございまーす」と爽やかにスタスタ登っていくハイカーさん。うらやましい。
明日は確実に筋肉痛。

ハイカーさんに追い抜かれた以外、人気がありません。
ざわざわ。工事車両も遠ざかり、今や響くのは風の音だけ。石畳から立ちのぼる冷気。それは霊気でもあり。
ふと、涙がこみあげました。
太古、熊野をめざす人びとも聞いたであろう、この森のざわめき。千年変わらぬ空間がそのまま残っている、それが熊野古道なのです。



千年前とは景色は変わってしまったけれど。
参詣者もここらできっとひと息ついたに違いない。

ベンチに座って陽光を浴び、鳥のさえずりを聞いていると、時を忘れそうです。

さあ、果無集落まではあと少し。

 

道の先に小さな扉が。

 

水仙が咲いています。こんな山の上に民家があるなんて。知ってはいたものの、改めて今たどってきた道のりを思うと、驚かざるをえません。



民家が見えました。

やっと到着しました、果無集落です!



田植えの時期なら、きっと美しかっただろう。

 

民家の脇には大きな鯉がいました。



ここまで登ってきた疲れを癒してくれるような手水の冷たさと桜の花。



本当に、家の前に世界遺産があるのです!
ポスターに載っていたおばあちゃんかな、出てきて挨拶してくれました。



縁側のそばにはこんな飾りも。
自分の家が突然脚光を浴びて、たくさんの人が訪れるようになって、たいへんなこともあっただろうけれど、こういう心づかいを見るとなんだかほっとします。



さらに石畳を歩くと…。



キタ――(゚∀゚)――!!

ポスターやらで見た風景!↓
 

芝桜には季節が少し早かったけれど…。

石碑のすぐそばの車道には村営バスのバス停が。

 

うん、確かに。でも世界遺産になる前はどんな名前だったのだろう?
ちなみに運行は月曜のみです。

集落にはちらほら観光客が増えてきました。車で来ているのかな?

帰りはその車道を歩くことに。

しばらく歩くと、ごうごうと音が。車かと思いきや、滝の音でした。



ネット上ではもっと全景を撮った写真があったのですが…近づける降り道を見つけられませんでした。もったいない。



道はずっと日陰なので、汗をかいた身体が冷えてきました…。



ヤマザクラのピンクがきれいです。



ようやく、登山口まで戻ってきました。

再び橋を渡ります。

 

川の上が怖いんです。



それでも桜の写真を撮る余裕アリ。

ホテルに戻りました。といってもチェックアウトしているので、外でブラブラ。果無集落でゆっくりしたつもりでしたが、まだ十時過ぎ。バスまで一時間半ほどあります。ちなみにこのバスが五條へ戻る最後の便のため、逃すとエライことに。
まだ温泉開放時間前なので足湯に浸かったり、芝生でパンを食べたり。お天気がよくて子どもたちが野球に興じている姿を見るのも気持ちがいいのですが、いかんせん風が冷たくて寒いので、ロビーで時間をつぶしました。

おみやげを買ったりするうちにやっとバスの時間。連休のためか十津川温泉や上野地から乗り込む人が多く、いつになく混んでいました。



快晴の吊り橋。昨日とはずいぶん様相が異なります。

五條から高田経由で奈良駅へ。万葉まほろば線も観光客でにぎわっていました。到着は17時。やはり五時間コース。

ああ~やっぱり十津川最高! 何度でも訪れたい場所、それが秘境の湯・十津川。
そして次こそは、冬季のためバスが運行していなかった玉置神社へ行ってみたいと思います!

なんならこの夏にでも。

 















「奈良県東南部に宿泊すると、往復のバス代が無料!」
こんなキャンペーンがあったことを、実施期間終了のぎりぎりまで知りませんでした。

これは、行かなければ…今、ふたたびの十津川へ!


というわけで、今回はひとりバスの旅。

事前計画では、五條からバスに乗り賀名生梅林で途中下車、梅林を見て回ってから十津川へ…というスケジュールだったのですが。

当日、朝から雨。

それも大雨。

天気予報では午後に向けてやんでいくようだったので、なんとかなるかなと思ったのですが、家を出た時はおそらくいちばん雨脚が強い時間帯だったのでしょう。長傘は邪魔になるので折りたたみ傘でしのぐつもりだったのですが、駅へ着く頃には全身びしょ濡れで体ヒエヒエ…。

このまま雨がやまなければ、梅林どころではない。早く温泉であったまりたい…。

冷えた体をひきずり電車を乗り継いで五條駅へ。もちろん、学習したのでICOCAは使いません!
雨はややましになったとはいえ、降り続いています。
駅には「祝甲子園出場」の垂れ幕が。五條は智辯学園の最寄り駅。そういえば、センバツは明日開幕のうえに智辯は開幕試合なのでした。

この季節、自販機ではもうあまり見かけなくなったホットレモンを買い、バスを待ちます。

やってきました。おや、以前乗ったバスとは違って、コミュニティバスのような小型です。しかも行先は十津川温泉になっています。
梅林計画のため、前回より一本早い電車に乗ったのですが、この時間帯はまだ八木新宮特急バスは走っていないのでした。
出発したものの、迷っていました。雨の中観梅はきついし(しかも次のバスは二時間半後)、昨夜からの雨で、もともと五~七割咲きになっていた花はほとんど散ってしまっているかもしれません。最寄りのバス停のひとつ前まできて、降車ボタンを押そうかどうしようか迷っていると、別の乗客が先に押しました。よし、ここは様子を見よう。
バス停に到着。他の客が精算している間窓の外を観察すると、やはり予想どおり、山肌を覆っているはずの彩りはほとんど見えません。しかもそこそこ雨が強い。

よし、やめよう!

計画変更、このまま十津川温泉まで乗り、公衆浴場に浸かってからホテルへ向かうことにしました。
これなら最初から梅林はあきらめて前回と同じバスに乗ることにしていれば、もう少し遅起きできたのに…。

皮肉なことに、雨は少しずつ弱くなっていきます。空も明るくなってきました。車窓に広がるダム湖もきれいなグリーンです。

最初の休憩地、上野地へ到着。外は霧雨程度でした。




つり橋からの光景も、曇り空では冴えません。

そういえば通路をはさんで隣の席に新聞を包んでいるらしい袋がいくつか置いてあったので、何だろうと疑問に思っていたのですが、どうやらこのバスは新聞配達も兼ねているようでした。ところどころのバス停に待ち人がいたので、こんなところから乗車するのかと驚き半分で思いきや、運転手さんがその袋をさっと取って渡しました。バス停の前にあった商店の人なのでしょう。また、旅行者以外の乗客もはじめて乗り合わせました。一日三本、廃線も検討されている路線ですが、なくてはならない村民の足でもあるのです。

さて、終点のバス停・十津川温泉に到着したのは11時過ぎ。ホテルへ向かう次のバスは二時間半後。
この時間帯、付近は閑散としています。喫茶店の看板はありますが、営業しているのかどうかあやしい。それよりも早くあったまりたい。
十津川温泉にはふたつの公衆浴場があります。ひとつはバス停の目の前にある「庵湯」。

 

さっそく向かいました。もちろん、誰もいません。店員さんすらいません。しばらく待っていたらようやく現れて、急いで準備をしてくれました。
「熱かったら、ここで水出してね~」と案内された湯船。



あっつい! さっそく水を注ぎましたが歯が立たないくらい熱い! 水の出るホースのそばから動けません。

窓からはダム湖が見えます。

雨に濡れて冷えた体をあたためるために肩まで沈めてゆっくり浸かっていたら、あたたまりすぎた模様…。上がるとクラクラ。

さて、まだ12時。

せっかくなので、もうひとつの公衆浴場へ行くことにしました。
バス停から少し歩いた場所にある、「南部老人憩の家浴場」。



こちらは名前のとおり、ご近所さんがふらっと立ち寄る銭湯といった感じです。のれんをくぐると、ちょうど「おおきにー」と風呂上がりの男性が出ていくところでした。



ちょっと大きな古民家のお風呂、といったぐらいの大きさ。

入った時にはひとり先客がいたのですが、「熱いからここで水出すといいよー」と教えてくれて上がっていかれました。
言われたとおり、こちらも熱い。しかも庵湯よりさらに熱い。源泉かけ流し、というよりも源泉そのものと言わんばかりの熱さ。
こちらも心の中ですみませんと謝りながら豪快に水を出し、ホースのそばでじっと待つ。ようやく適温になったので水を止めると、十五秒で元の熱さに…。水を出したり止めたりをくり返しながら、堪能しました。

バスまであと四十分。おなかもすいてきました。バス停前の商店でおにぎりを買っても、それを食べながら待てるような場所も見当たりません。ここにいてもただただ退屈…。
どうしたものか…。

ベンチに座って途方に暮れていると、庵湯前の看板が目に止まりました。「よろずや 営業中」。…何か食べられるかも?

おそるおそる扉を開ける。食堂でした!

めはりずし定食を注文。その値段からして、そこそこ量はあるでしょうし出てくるまでも時間がかかるでしょう。

この時点で、バス発車まで三十分。実にビミョー。
ホテルはここからバスで五分程度。到着したところで予約したチェックインの時刻まで間がありすぎて、すぐには入れないでしょう。距離は2キロ程度ですから、歩けないわけでもない。

ごはんが出てきました。



…うん、あと十五分では無理だ。

きのこバターがいい香り。ゆうべしもついています。何よりめはりずしが…ひとつでお茶碗一杯分くらい…。
しかし早起きと温泉でカロリー消費していた身体は、全部たいらげてしまうのでした。

他にお客さんもいなかったので、店主さんが話しかけてくれました。
私が気になっていたのは、壁に貼られた楽天・浜矢広大のポスター。「ご親戚ですか?」「いいや、十津川出身なんよ」

えー!

高校は和歌山の日高中津分校だそうです。智辯和歌山の牙城があるので甲子園には出られませんでしたが、社会人野球に進んで、松井裕樹が一位指名された年のドラフト三位で楽天に入団したと教えてくれました。この間もオリックスが抑えられた…という話題は出せませんでしたが。

などと話している間に、乗る予定だったバスが出ていくのが窓から見えました。

十津川は野球より、剣道がさかんなのだそうです。全国大会で優勝した人もいたり、これも十津川郷士が京の御所を守ることになった歴史と深いかかわりがあって、その精神が今に受け継がれているのでしょう。
店主さんのご先祖も、幕末に志士として活動し、霊山護国神社にそのお墓があるのだそう。
「今日どこ泊まるの?」「ホテル昴です」「どやって行くの? バスまだあったっけ」「どうしよっかなー…と…」「電話して迎えに来てもらおうか?」
ええっ。送迎は予約制だと書いてあったので、突然はむりだろうからあきらめていました。

店主さんは私が食べ終わる頃に電話してくれました。
「すぐ来てくれるって」
なんと!



しかもこんなかわいいどんぐりトトロまでいただきました。鞄の中でひっくりかえってボンドがついてしまいましたが…。

感謝してもしきれません。ありがとうよろずやさん。次来た時も寄せてもらいます。

本当にほどなく送迎車が来てくれました。突然の呼び出しにもこころよく車を出してくれたホテル昴さん、ほんとうにありがとう。

公衆浴場の人たちといい、十津川の人はみんないい人です。

「突然なのに本当にすみません」「いえいえ」「お昼食べている間にバスが出てしまいまして…2キロなら歩けるかなーと思ったんですが…」「都会の2キロと違いますから…」
確かに車で走ってみると、そこそこ距離があります。歩けないことはありませんが、歩道がないから少し危なかったかもしれません。

時刻は2時過ぎ。やはりチェックインには早すぎた。急いで部屋を準備してくれた宿の方にも申しわけない。

しばしテレビを見ながらボンヤリしていましたが、お風呂は夕食後にしようと思っていたので、プールへ行くことにしました。

連休なので、家族連れでにぎわっていたらどうしよう…と不安でしたが、杞憂に終わりました。ふたりほど、本気で泳いでいる人たちしかいません。
よーし、運動不足を解消するために泳ぐぞー。

…しまった! またゴーグル借り忘れた。今さらフロントに戻れないので、裸眼で泳ぐことに。また目が真っ赤になってしまう。
三十分ほどプールを往復して、疲れ切る前にあがりました。

部屋で相撲を見て、夕食。



バスの窓から「アマゴ解禁」の文字をいくつも見ましたが、この夕食にもアマゴのお造りと焼きアマゴが。



もちろん、むこだましも。



添えられた桜が春を感じさせます。



デザートも春仕様。

食事のあとは温泉へ。
ゆっくり浸かってごくらくごくらく。
月明かりで星は見えませんでしたが、お天気のもよう。

明日にそなえて、さっさと寝ました。

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ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
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