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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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今年も高校野球が終わりました。
盛り上がった大会となりました。

注目校の初戦が土日に固まったことで、1回戦から楽しめました。スーパー1年生・清宮に衆目が集まった早稲田実。甲子園出場すら危ういと言われていたチームが、めきめき力をつけてベスト4まで残ったのには驚きました。清宮くんのスイングスピードもさることながら、捕手で4番の加藤くんのキャプテンシーも印象的でした。でも、すべて第一試合というのはねえ…高野連さん…おかげで遅起きのツレが一試合たりともリアルタイムで観戦せず清宮の実力を確かめることができなかったという。
第二試合の敦賀気比-明徳義塾。明徳の初戦負けなしジンクスも、気比の圧倒的な投打の威力の前にはかないませんでした。互いの意地を感じた1回戦のベストゲームでした。
そして贅沢なことに、次の試合は大阪偕星―比叡山という関西勢対決。偕星を応援しつつも、9回2アウトから比叡山の控えのキャプテンが代打で同点タイムリーを放った場面には感動しました。投手に代打を出したことで次の回には勝ち越されてしまいましたが、これぞ高校野球という攻防で大観衆を沸かせました。偕星の投手も粘り強く投げていました。

日曜日も朝から堪能。智弁和―津商はこれもまた高校野球の残酷さを象徴した試合でした。前評判も智弁和が圧倒的有利、実際に先制した時にはこのまま大差勝ちするだろうと考えていました。しかし驚くべきは津商の初出場とは思えない落ち着いた試合運び。初回から前進守備をひかず、先制点を捨てる賭けに出ました。あとから考えれば、この時智弁和が2点しかとれなかったことですでに津商のペースにはまっていたのかもしれません。じりじりと追い上げられるも追加点は取れず。その後の相次ぐエラーには目を覆いたくなりました。いくら甲子園常連校でも選手たちははじめての夏の甲子園。独特の雰囲気に呑まれた選手たちに、ベテラン監督もなすすべがなかったのかもしれません。続投が決まった高嶋監督。さすがにこれで終わるわけにはいかないと勝負師の血が騒いだのでしょうか。甲子園にはまだまだ高嶋監督の仁王立ちが必要です。
そして、全力でプレーし全力で校歌を歌い全力で挨拶に走る津商の選手たちにはこちらも笑顔になってしまい、次もまたその次もこの姿を見たいと思わせる好感の持てるチームでした。
天理の相手は長崎・創成館。順当ならば勝てるかなあと期待していたのですが、順当にいかないのが甲子園。急造投手の冨木くんは粘り強く投げたと思いますが、継投させるタイミングを逃してしまったでしょうか。エースナンバーの斎藤くんがレフトからの捕殺で見せ場を作ったのはうれしかったです。橋本監督は勇退を発表しました。奈良の高校野球の底上げに貢献し、さまざまな苦境にあった天理野球部を復活させた監督。おつかれさまでした。そして新生・天理の新たな出発に期待します。

平日は見られないので、週末の話ばかりになりますが、秋田商エース成田くんはさすが石川二世と称されるだけはあります。気の強そうな面構えから繊細なコントロール、健大高崎の足攻にも動じない落ち着いたマウンドさばき、(投手力に比例しないチームの守備力と打撃力も加え)漫画みたいだと感じました。
中京大中京―関東一の息詰まる投手戦と意外な結末。打球がスタンドに消えても、あいさつの列に立っても、現実を受け止めきれていない中京投手上野くんの茫然とした表情が胸に迫りました。甲子園に棲むというマモノは実に気まぐれです。
この日はすべてが1点差で、見ごたえがあり楽しめました。

優勝するチームは、必ず一度は崖っぷちに立たされた試合を乗り越えるものですが、東海大相模にとっては花咲徳栄戦がそれであったでしょう。最後の最後に優勝候補の意地が勝った試合でしたが、前評判の低さからここまで勝ち残り、一歩も引かない試合を見せた徳栄もあっぱれです。

東北の悲願、と言われて久しい優勝旗の白河越えはまたも果たされませんでした。一度は同点に追いつき、大観衆を巻き込んで熱狂させた仙台育英。予選前の不調を克服したどりついた決勝のマウンドで、佐藤くんは力の限りの投球で東海大相模打線に真っ向から挑みました。しかしたった一球が勝敗の分かれ目となりました。
同点の9回。先頭バッターは相手投手。
決して気を抜いたわけではないでしょう。ただ連投の疲労がほんの少し、集中力を削いでしまったのかもしれません。
投じた初球は甘めのフォーク。打者の小笠原くんはそれを逃さず、スタンドへ叩き込みました。二枚看板の吉田くんと切磋琢磨して迎えた最後の夏。昨年も絶対的優勝候補と言われながら初戦敗退した悔しさをバネに、ここまでたどりつきました。投打のバランスにすぐれたチーム作りといい、優勝候補というプレッシャーに踊らされない落ち着いた采配といい、のべ100校目の栄冠を戴くにふさわしい優勝でした。おめでとう。

100回目の夏が幕を閉じました。
注目選手が次々現れ、日を追うごとに盛り上がりを見せた大会でした。

閉会式の日、首もとを吹き抜ける朝夕の風が涼しさを取り戻したことに気づくと、なぜか淋しさをおぼえる夏のおわり。
毎年新たな記録や記憶が生まれるけれど、この淋しさだけは変わらない。

101回目の夏もまた、この淋しさを感じることでしょう。

待ち遠しい淋しさ、それもまた日本の夏の風物詩。





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