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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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いったい何年ぶりなのか、

本屋の子ども向けコーナーに足を向けて、

絵本だけでなく児童小説の棚ものぞいてみると、

やっぱり昔読んだ本が置いてありました。

『彦市さん』や『吉四六さん』は子ども心にも「こいつら性格悪いな」と思ったし、

『おばけの話』シリーズは、かわいいイラストでごまかしつつも、

やっぱりろくろ首やひとつ目小僧は怖かった。

 

中でも、なんでかどうしてか、

松谷みよ子さんのお話はそこはかとなく恐ろしかった。

 

『おばけちゃん ねこによろしく』。

「ぼく、おばけちゃんです。ねこによろしく」という挨拶をするおばけちゃん、

自分でもなぜ「ねこによろしく」などと言うのかわからず、

その理由を探るお話。

結局どうしてだったのかは憶えていませんが、

なんだかやたらと怖かったのだけは鮮明に憶えています。

今、ちょっとネットで調べてみたら、

私が読んでいたのとイラストがちがーう!

ぶきみかわいくなっています。ちとがっかり。

 

『モモちゃん』シリーズ。

いわずとしれた超有名なお話ですが、

パパの靴しか帰ってこない夜。

ママのもとに現れた死神。

人間の前ではもの言わぬ猫に徹するプーとジャム。

アカネちゃんと遊ぶおおかみパパ。

両親の離婚という現実が児童風に味つけされているのですが、

なにもわからなかった当時とはまた違った感覚で、

今思い出してもやはり怖いです。

怖いというよりも、悲しいです。

過酷な状況でもけなげに生きていく子どもも大人も、いとしいです。

実は最終巻だけ読んでいません。もう大きくなってしまっていたから。

でも、今でも読み返したいと思うのはこの作品だけです。

姪っ子に買ってあげればよかった。そしてついでに読めばよかった・・・。

今からでも大人買いしようかな。

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