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『天使の耳』
交通警察を扱った短編集です。
私自身は運転免許を持っておらず、これから取るつもりもありません。
車がない生活は不自由ですが、どーせ教習所は苦労するだろうし、
ツレは「絶対におまえの運転する車には乗らん」と言っているし。
でも、この本を読んだからというのも理由のひとつかもしれません。
車はそれ自体が凶器にもなりますし、
何気ない行動が人の一生にかかわることもあります(運転に限りませんが)。
『捨てないで』なんて、本当に怖いです。
表題作は、短編の中では屈指の良編だと思います。
『ある閉ざされた雪の山荘で』
「なんかおもしろいミステリーないかなあ」という人には絶対! オススメ。
下界と連絡を断絶された(という設定の)ペンションで行われる連続殺人。
一見ありきたりな設定のラストには、驚愕の真実が隠されていました。
これこ活字というかたちでしか楽しめない作品であり、一度読んだら二度と読めない(読むけど)。
なんでこんなスゴイ作品を作れる作家が無名なのか、つくづく不思議でしたね。
『同級生』
高校生の時、私が「東野圭吾好き好き」と言いふらしていたので、
担任の先生(♀)が「一冊貸して」と言ってきました。
それで貸したのがこの本。
特別おもしろいというわけではないのですが、その頃はほとんど図書館で借りており、
傑作(と思う)の『変身』『宿命』は母の本だったので貸すわけにはいかず、
唯一の私の蔵書がこの作品だったのです。
返却時、先生はひとこと、「若いわねぇ(冷笑)」。
「ぁあ!?」と、内心キレた私ですが、まあ一冊貸してくれと言われて貸す本ではなかったかなと・・・。
主人公は高校生で、ちょっとした気の迷いで関係を持った同級生を妊娠させ、
彼女を死に追い込んだ四十代独身の女性教師もまた不可解な死を遂げ・・・という話を、
四十代独身の女性教師が読んで愉快になることはないでしょうね。
しかも教師嫌いの作者を反映してか、主人公が教師に毒を吐く場面が頻出し、
あとがきでも作者が同じような感慨を述べていますし。
なんだか教師嫌いの私があえて選別して貸したかのようだ。
ま、そういうのを抜きにしても、純粋に青春ドラマとして面白い作品だと思います。
『名探偵の呪縛』
文庫オリジナルとして出版されたのですが、これより以前に『名探偵の掟』という作品が出されており、
そちらを先に読んだほうが楽しめるかと思います。
『掟』初読の時はめちゃくちゃ面白くて笑えたのですが、二品目となると若干飽食気味ではありました。
でもこれでもかというくらいレトロな設定の本格推理は、こんなかたちでしか書けないでしょうね。
『しのぶセンセにさよなら 浪花少年探偵団・独立編』
さよならというタイトルが示すとおりの完結編。
しのぶセンセが手を焼いたやんちゃ坊主たちも中学生になり、
センセ自身もややパワーダウンした気がします。
しかし大阪の小学校がみんなこんな感じだと思われたら困るのですが・・・。
『むかし僕が死んだ家』
父親の遺品である地図と鍵をもとに、自分の失われた記憶を探しに出た女性とその元彼。
山奥のさびれた一軒家に隠された秘密。
空き家の探検って、なんだか好奇心をくすぐられますね。
ましてこの家は生活臭が皆無にも関わらず、今の今まで生活していたかのようなかたちに残されています。
ひとつひとつ謎の扉を開いていく主人公とともに、動悸を激しくさせていくこと必至です。
しかしこの家の鍵が鎖していたのは、好奇心だけではとても耐えられない秘密でした。
あまりにも悲しく、あまりにも救いないラストが待っています。
それでも空虚の向こうにひと筋の未来をかいま見せるのが、この作家ならではですね。
・・・つづく