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ずいぶん昔のことになりますが、テレビで放送していた『RAMPO』という映画を観ました。
江戸川乱歩の作品を読んだことはありません。
本棚には全集が並んでいたのですが、背表紙の仮面のイラストが薄気味悪く、結局手に取りませんでした。
それでも、どういう作風なのかはなんとなくイメージとして持っています。
そしてこの『RAMPO』という映画、どちらの監督のものかは忘れてしまいましたが(ラストシーンから推測するに、おそらく奥山バージョンではないかと思われる)、そのイメージを損なわない、大正から昭和初期にかけての刹那主義的、退廃的な雰囲気を醸し出していました。そういえばこの作品ではじめて香川照之を観て、「うまい俳優だなあ」と感嘆したのを憶えています。
さてこの『K-20』ですが、怪人二十面相と明智小五郎探偵が登場するといっても、舞台はモダンな時代の東京ではありません。
平和条約によって第二次世界大戦は回避された1949年、19世紀より続く華族制度により貧富の差が甚だしい格差社会、そんな帝都の片隅でサーカスの曲芸を演じる遠藤平吉が主人公です。
ひょんなことから怪人二十面相の疑いをかけられた平吉。偶然出会った明智の婚約者・葉子、泥棒長屋の源治らとともに、容疑を晴らすため帝都を駆ける。
ファンタジーと分類しても良いでしょう。スパイダーマンのごとく糸を操る平吉、葉子の祖父が遺したテスラ装置、確かに江戸川乱歩の作品を踏襲すれば描けない世界観になっています。
CGを駆使した帝都の風景は壮大で、アクションも迫力あるものとなっています。また二十面相の正体に関しても、ミスリードを利用しつつ最後に種明かしという謎解きの一面もあり、二十面相が扮装するチョイ役キャストも豪華で、娯楽作として長い尺を飽きずに楽しめる作品でした。
惜しむらくは、金城武と仲村トオルという主要人物二名がミスキャストであったことでしょうか。金城武は『レッドクリフ』や『死神の精度』のような魅力がありませんでした。平凡な一般庶民を演じるには、やや浮世離れした本人の色気が邪魔しているように思います。仲村トオルはドラマでも何度か真犯人役を演じていましたが、どれも迫力が足りず消化不良でした。『チーム・バチスタ』の白鳥などは、まさに適役だと思うのですが。
松たか子はヒロインにしてはちょっと歳がいきすぎているように思いますが、はっちゃけお嬢というステレオタイプのヒロインを厭味なく、上手に演じていたと思います。國村隼・高島礼子の夫婦は『三丁目の夕日』的ナチュラルな美意識があり、良かったです。
でもやはり、私は『RAMPO』のほうが好きです。
評価:★★★★☆(3.2)
~ヤスオーのシネマ坊主<第2部>~
僕は小学校の時、江戸川乱歩をアホみたいに読んでいた時期があったのですが、あの不気味で倒錯的な世界観とはまったく違いましたね。唯一不気味だったのは金城武が警察に捕まった時に、金城武の向かいの牢屋にいた男だけです。でも、この映画の世界観も、これはこれで良く出来ているのではないでしょうか。ラピュタやスチームボーイみたいな感じですね。さすが「always 三丁目の夕日」と同じスタッフなだけあって時代をきちんとデザインしており、なおかつノスタルジックさもきちんと出せています。「20世紀少年」なんかよりよっぽど良いですね。セットにしろ衣装にしろ小物にしろ一つ一つにセンスを感じます。
ストーリーもまったくのオリジナルですが面白かったですね。橋を壊しただけでどうやって金城武は護送車から脱出できたのかなどごまかしているところも多々あるのですが、イラッとするほどのものでもなかったです。特に良かったところはアメリカのこのテの映画にありがちな恋愛要素を排除しているところではないでしょうか。もちろんあることはあるのですが、非常にアッサリしており、ラストの金城武が鳩を出して消えるシーンはとても好感が持てました。
ストーリー展開もテンポがいいから退屈さはないし、メリハリもきちっとあるので疲れもありませんでした。純粋に楽しめる映画としてはかなりの水準に達している映画ではないでしょうか。そりゃ「ダークナイト」などには劣りますが「スパイダーマン」よりは上でしょう。
ただ、これはこの映画の致命的な欠点なのですが、金城武と仲村トオルは本当に演技が下手ですね。金城武はセリフ回しが下手なのは仕方ないとしても数奇な運命をたどる平吉の苦悩や悲哀がまったく出せていませんでしたし、仲村トオルはセリフ回しが日本人のくせに下手なうえに、最後正体がわかった時点でもとても良い人に見えます。いくら娯楽映画とはいってもこれはまずいです。これなら國村準や小日向文世などの演技力のある役者を黒幕にした方がまだ良かったんじゃないでしょうか。
評価(★×10で満点)★★★★★★★