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『ひまわり』
視聴中の連ドラ『歌姫』と設定が似ている・・・ということで、借りてみました。
舞台は第二次大戦後。
イタリア女性・ジョヴァンナは、ロシア戦線に連れていかれたまま行方不明になっていた夫が、
シベリアで現地女性と結婚していることを知ります。
ジョヴァンナがアントニオの住んでいるらしい家を訪ねる場面。
新しい妻はひと目見て、彼女の素性を悟ります。
確かめる言葉はなく、ただ家に招きいれ、その横で服を汚した子どもを叱ります。
ただじっと見つめるジョヴァンナの目には涙。
子どもを奥へ入れて戻ってきた妻の目にも涙。
両女優の白眉の演技といえるかもしれません。
ジョヴァンナにとって、夫が生きていたことが、果たして幸せだったのかどうか、はかりかねます。
「生きている」と信じて向かったロシアですが、
本当は、「生きていなかった」証を見つけたかったのかもしれません。
「生きていた」現実は容赦ないもので、
ジョヴァンナは生きていた夫と再会した瞬間に電車に飛び乗り、故郷へ戻ってしまいます。
アントニオは、ジョヴァンナと会うためにイタリア行きを決意します。
もしかしたら、そのまま戻ってこないかもしれない夫を、「待っている」と微笑んで見送る妻。
一方ジョヴァンナは、ミラノに転居し、新しい夫と子どもと暮らしていました。
「一緒になろう」というアントニオの愛を拒絶し、今の生活を守ることを伝えます。
過去、同じようにロシアへと発つ夫を見送った駅のホームでたたずむジョヴァンナ。
愛と戦争に振り回された胸に去来するものは、なんだったのでしょう。
オープニングは一面のひまわり畑。
そして、劇中でも、ロシアへの旅の途中、車窓の風景として出てきます。
一見、平和の象徴のように見えますが、
実はその下には国籍関係なく、たくさんの兵士たちが眠っているのでした。
ひまわりは悲しみの墓標なのです。
命は助かったものの、戦争の犠牲となってしまったジョヴァンナとアントニオ。
アントニオの新しい妻もまた、満たされぬ悲しみを背負うことになった犠牲者といえます。
戦争が引き裂いた愛の悲劇ですが、
それと同時に戦争の壁をも超えてしまう愛の強い力を感じた一作でした。
評価:★★★★★(4.5)
『機関車先生』
瀬戸内海に浮かぶ架空の小島へ赴任してきた、言葉を話せない若い臨時教師。
子どもたちは彼を「口をきかん先生」=「機関車先生」と呼びます。
穏やかな校長、ヨソ者を好まない網元、飲み屋の若女将、下宿の産婆、
この島から駆け落ちした彼の母親を許していない祖父など、
さまざまな島の人間たちに囲まれて、自然と光にあふれた映像とともに、
機関車先生と子どもたちのひと夏が描かれます。
自由闊達ながら、時折揺れを見せる子どもたちは個性豊かでした。
しっかりしたお姉さん、機関車先生に淡い恋心を抱く絵の上手な女の子、
科学好きな坊ちゃん、父を海難事故で亡くす少年、天真爛漫なチビちゃん、などなど。
よくある「昔の田舎の理想っ子」ですが、やはり女の子が強い。
展開は非常にベタベタで、ラストも予想どおりですが、
子どもの涙には、やはり弱いですね・・・。
いっさい台詞のない主役は坂口憲二。
表情だけで演技しないといけない難役でしたが、
ま、正直荷が重いというか・・・。
脇が堺正章・倍賞美津子・伊武雅刀と名優がそろっているだけに、少し軽さが目立ってしまいました。
評価:★★★☆☆