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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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今更なのですが、2006年にドラマ化された『氷点』の再放送を観ました。

放送当時はビデオに録っていたのですが、誤って上書きしてしまい、

それからずーっと気になっていたのです。

 

『氷点』をはじめて読んだのは13歳の時でしたが、

三浦綾子さんの作品は3作目、むさぼるように読みました。

世界のすべてが三浦作品を中心に回っていた私にとって、

これが「不自然な設定」だとか「ありえない」だとか「古くさい」だとか、

ましてや「ドロドロ」「禁断の愛」などといった形容をされるのは、

まったくもって理解し難いわけですが、

数年前の連ドラ『氷点2001』はまさに現代昼ドラ調継子イジメ物語になっていて、

主題歌と陽子役の女の子をのぞいてあっけにとられてしまいました。

世間的に見れば、そうなのね、と・・・。

なんだか悲しくなりました。

 

石原さとみを起用したこの特別ドラマは原作に忠実らしいので期待していたのですが、

待つこと2年、待った甲斐がありました。

非常に感動しました、前編は。

後編ははしょりすぎ、設定変えすぎでしたね。ちょっとがっかり。

『続・氷点』が余韻を残すすばらしいラストだっただけに、

60歳になった陽子は観たくなかったですね・・・。

 

キャストもいまいちでした。

徹役にはがっかりで、達哉役には頭を抱え、北原役には絶望しました。

でも、石原さとみは上手でした。

私の両親などは、はじめてテレビドラマ化された時の陽子役が鮮烈だったので、

「それ以外には考えられない」そうですが、

こちらのオールドファン受けはどうだったのでしょうか。

 

昔と感じ方もずいぶん変わりました。

はじめて読んだ時は、村井と由香子の関係が全くつかめず(当然といえば当然だが)、

辻口夫婦を邪魔するこのふたりが大嫌いだったのですが、

今は由香子の悲しみを理解できる気がします。

三井恵子の薄かった印象も、強まりました。

「罪」を「ゆるす」こと。その難しさを、陽子のようにはいかなくとも、考えています。

 

朝から晩まで三浦作品に没頭していた思春期を懐かしく思い返しました。

本は全部実家に置いてきてしまったので(というか殆ど母親のものなのだが)、

また読みたくなってきてしまいました。

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