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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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『火の粉』
回を追うごとに「なんじゃこりゃ…」となる展開でした。「土ドラ」とは昼ドラが時間帯を移しただけの枠なのでしょうか。随所に昼ドラっぽい演出があったのですが…全員がそれを大真面目で演じているあたりも…。
ユースケの怪演と、なにげに木南晴夏も不気味さが出ていて、そこだけが恐怖感を醸し出していましたが、あとは総じてお笑い要素が高かったですね。それも『僕のヤバイ妻』のような本当に笑える振り切れ方ではないので、ついていけない者は置いてけぼり感の残るドラマでした。
結局ラストまでついていけなかったし…原作どおりで良かったのではないかとも思いますが、あの役どころの勲では無理かなあ。

『モンタージュ 三億円事件奇譚』
数々の小説や漫画のネタ元になっている三億円事件の「真相」。こちらはもう完結済みの漫画が原作とあって、二夜連続にもかかわらず駆け足の展開でしたが、プロットに無理がないので展開を楽しみながら視聴できました。
視聴率の低さが話題になってはいたものの、豪華キャストがスケールの大きい物語を盛り上げてくれたと思います。次の朝ドラの主演である芳根京子をはじめて見ましたが、細くてかわいいですね。来期が楽しみになりました。ただ、香川照之が昭和と現代を通じて演じていたり、唐沢寿明と西田敏行が同世代だったりというのは少し無理がありましたが…。野村周平や三浦貴大はあの時代の雰囲気にぴったりでした。また、ひさびさサイコなエンケンが見られて楽しかったです。
それにしても、未曽有の未解決事件からもう48年。その謎を現代にひっぱってくるには、関係者本人であったりその子であったり絡ませてくるには少し困難なほどに歳月が過ぎゆきました。時代を代表する出来事ではありましたが、これも昭和は遠くなりにけり、ということの顕れなのかもしれません。

『真田丸』(承前)
この大河の特徴は、滅びゆく武将たちにもきちんとスポットライトを当てているところ。初回の武田勝頼に始まり、切腹した北条氏政も、高嶋政伸の熱演もありましたが涙を誘われる回でした。これからは豊臣秀次に悲劇が待っていますが、軟弱だけれども怜悧な一面を見せることもある彼がどのような最期を迎えるのか、今から胸の痛む思いです。
陰陽あわせもつ小日向秀吉像は新しい描き方ですね。まさに恐怖政治です。悪役に描かれることの多い石田三成も、時には柔軟さを見せて魅力的です。少し残念なのは女性陣。三谷作品には魅力的な女性が登場することは少ない印象がありますが、これもその域を出ません。梅は女性的な腹黒さを露呈してあげく死んでしまうし、きりは秀次と出逢って少し変化がありましたがそれまではトラブルメーカーでしたし、松の記憶喪失ネタも必要性がわからないし稲は仏頂面で茶々も魔性の女というには今ひとつ…これから登場する大谷吉継の娘も果たして一筋縄でいくかどうか。
しかしいずれにせよ、今いちばん魅力がないのは信繁だと思います。見せ場といえば大阪の陣だけですから、仕方ないか。並行して読んでいる『真田太平記』でも、まだ九度山蟄居中の幸村の活躍度は今ひとつなので。

『とと姉ちゃん』(承前)
投げ捨てエピソードの多さが気になりますが、そもそも朝ドラとはこういうものだったか。
とと姉ちゃんおよびその家族の行動にはイマイチ共感できないことが多くありますが、戦争が終わって、雑誌作りはこれからが本番。今後の展開に期待します。
目黒では今ひとつ伝わらなかった戦災の惨さはお竜が語ってくれました。わずかなシーンでその恐怖と絶望を表現した志田未来の演技力はさすがです。常子と初対面の時は夜の街に仲間とくりだしていたにもかかわらず、母親がおらず弟妹の世話で学校に行けなかっただのと話していた設定の矛盾は気になりましたが、志田未来レベルの役者を使ってこれで終わり…ってことはないよね?

『てるてる家族』(承前)
個人的評価は現在放送中の朝ドラよりも高い再放送。むしろヒロインは浅野ゆう子ではなかろうかと思うほどインパクトの強いキャラです。実際にオリンピック選手といしだあゆみと宝塚女優を生み育てた女性ですからかなりパワフルな人であったろうとは思いますが。
ヒロインの石原さとみだけでなく子役時代から四姉妹がそれぞれかわいくて魅力的で、長回しの食卓風景も楽しく見られます。まさに朝にピッタリなドラマです。
錦戸亮が出てきたのにはびっくり。こんなかわいい時代もあったのね。




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ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
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