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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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大ヒットを記録した映画の続編。

前回のラストで別れてしまった茶川とヒロミのその後を主軸に、

一平とはとこの美加、六ちゃんと幼なじみの武雄のほのかな恋(?)模様や、

鈴木夫妻の過去の出来事などを描いています。

原作を読んでいるツレによると、今回のエピソードのほとんどはオリジナルだそうです。

原作に忠実なものがすべて良作とは限りませんが、

この作品に限って言えば、原作をなぞった1本目が良質だっただけに、

わざわざオリジナルストーリーにしなくてもよかったのではと思います。

さまざまなエピソード、ヤマ場が設定されているにしろ、

茶川・ヒロミ・淳之介の着地点へ向かった展開では先が読めてしまいます。

とはいえ、昭和30年代のノスタルジーにこだわった雰囲気は変わりません。

夕焼けの美しさも見事です。

前回すばらしい演技を見せた吉岡秀隆は今回も感動させてくれました。

ステテコ姿も似合う堤真一は前作以上に《鈴木オート》の旦那になりきっています。

薬師丸ひろ子の母性愛には涙が出ました。

堀北真希のワンピース姿はかわいかったし、小雪の颯爽としたワンピースコートも素敵です。

ふたりとも古風な顔立ちの正統派美人なので、旬の女優なのに違和感がありません。

福士誠治は書生風が似合いますね。どうしてスーツじゃないのかと思ったら、そういうことでしたか。

渡辺いっけいや上川隆也もチョイ役で出演していました。さすが予算に余裕がある豪華大作。

少し残念だったのが、淳之介くん。

成長期だから仕方ないのだけど、小学生役は少し無理があるような・・・。

がんばって幼い声を出そうとしていたのが、痛々しかったです。

なぜかそのままだった一平くんはかわいかったのですが。

キャストや雰囲気や主題歌がすばらしかっただけに、

物語にもっと深みが欲しかったです。

評価:★★★☆(3.7)

 

<おまけ:ヤスオーのシネマ坊主>

 今作はいきなりのゴジラの映像に「予算と才能があるからこんなに素晴らしい映像が撮れるんだぞ。」という監督の驕りが感じられ、大変不安な気持ちで見始めました。さや氏が言っているように今作のオリジナルに近いストーリーは前作以上に陳腐なものだし、「前半笑かして後半泣かせよう。」という作り手の意図も前作よりあからさまなでした。新キャラの美加もだんだん描き方が雑になってくるので、ラストで「お嫁さんになってあげる。」とか一平に言われても困りますね。というかこの子はいつの間にいい子になったんでしょう。

 しかし、僕は前作の映画の良さとして「見てて心地いいこと」を第一に挙げましたが、何だかんだ言ってこの映画も前作と同じく見てて心地いいんですよ。今作は2時間半ありましたが、ぶっ続けで見てもまったくしんどくない。何時間でも見てたいぐらいです。ここまで思える映画はそうそうないですよ。それぐらい「ノスタルジー」というのは僕にとって大きなものだし、おそらく他の人もそうだからこのシリーズがヒットするのでしょう。いくら新鮮味がなかろうが、いくら前作より多少出来が落ちようが、「ノスタルジー」という大きな武器を持っているこのシリーズはパート3もパート4もコンスタントにヒットすると思いますよ。僕も絶対見ますし。

 まあ前作で不覚にも泣いてしまった茶川と淳之介の同居問題では今回はまったく感動しませんでしたけどね。このテーマはもうお腹いっぱいなので、パート3ではもっと他の人にスポットを当ててほしいです。今回は「羽田空港で撮るなよな~。おかしいだろ。」とか「須賀健太は今が一番使いにくい年だなあ。前作の子役だからこその良さはもうないな。」とかよけいなことばかり考えていましたから。

 今作で僕が泣きそうになったのは、粗野な鈴木オートの社長を初めとした三丁目の住人がみんな実は「踊り子」を読んでおり、みんながその小説を良いと思っているところです。小説だろうが音楽だろうが映画だろうが魂を持った作品は、技術の上手とか下手とか、賞を獲ったとか獲ってないとか、相手にその分野の素養があるかどうかとかそういったことは問題ではなく、それを見たり聞いたり読んだりした人は必ず何かを思い、感動するはずだといつも僕は思っていますからね。

評価:★5/(★5で満点)

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