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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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ドラマを1話で挫折したので、本家を観てみました。

DVが社会問題になっている昨今、

女から男への暴力も、少数ながら存在しているというのに、

5年前とはいえ、堂々と暴力を振るう彼女、甘んじて受け入れる男。

本来なら、「ありえんわ!」と嫌気がさしてしまうところですが、

それを受け入れて、ラブストーリーとして楽しんでしまえるのは、

ひとえに主人公を演じるチョン・ジェヒョンの愛らしさゆえ。

かわいいんです、厭味なく。

でも、キョヌが彼女を受け入れるのは、「かわいいから許しちゃう」ゆえではありません。

キョヌは確かに彼女の暴力や我儘に従うけれど、

彼女に男らしいところやかっこいいところを見せようとはしません。

ゲームをすれば本気になるし、罰ゲームも容赦なく与えるし、

危険な目にあえば自分だけでも助かろうとするし。

キョヌは彼女の前で、あまりにも「ありのまま」です。

だからこそ彼女は心をゆだねられるのです。

互いに満ち足りた時間を送りながら、

最初からただそれだけの刹那的関係。

ひずみは徐々に姿を現して、

ふたりはリセットの未来を選びます。

その流れが言葉で説明されないだけに、

男と女はそーゆーものでしかないと思っている短絡的思考の人間には理解できないかもしれません。

2年間の空白期間を経て、

少し大人になったふたりの迎える再会の瞬間。

ほっと心があたたかくなる、とても良質なエンディングでした。

素晴らしいのはタイトル。

猟奇的という言葉の含むおどろおどろしさは、彼女の魅力の前に姿を消しました。

奇抜で斬新、私の中で1、2を争うナイスネーミングです。

評価:★★★☆(3.4)

 

 

<おまけ:ヤスオーのシネマ坊主>

  僕は「韓流」とかいうものに踊らされている日本人にあまり良いイメージを抱いていなかったので、韓国の映画といえば「韓流」とはかけ離れたところいいるキム・ギドクやパク・チャヌクしか見ていなかったのですが、「インランド・エンパイア」を推薦した罰として今回初めてバリバリの韓流作品を見ることになりました。

 見終わってつくづく感じたのは、この監督は「アホが楽しめる作品」を作るのが非常に上手だなあということですね。この「アホ」というのは頭が悪いという意味ではなく、あえてアホになって見る人のことです。今の日本は「三丁目の夕日」みたいな人情味溢れる社会ではないので、みんな生きることに疲れているから、プライベートでは頭を空っぽにしてこういう映画を見て泣いて笑って楽しんでいるのでしょう。ここまでベタな脚本のラブストーリーは今の日本にはないですから、そりゃ流行るでしょうね。「フラガール」や「ALLWAYS 三丁目の夕日」が近い位置にいますが、この映画に比べればスタイリッシュです。

 だから、この映画をけなす人の方が、本当のアホだと思いますね。古臭いストーリー、テンポの悪さ、内容の薄っぺらさ、無意味なシーンの多さ、演技力の無さ、そりゃ僕だってけなそうと思えばなんぼでもけなせますよ。しかしそれは全部見る前から分かっていることですから、そんなマイナス面ばかりあげつらって映画通ぶる奴は最初からこんな映画を見るなという話です。僕は罰ゲームでも純粋に映画を楽しもうと努力したし、それなりに楽しめましたから。ヒロインも可愛かったし。

 ただ、僕はヒロインがどうしてそこまで「猟奇的」な行動をとるのかという根本的なところが最後までよく分かりませんでした。よっぽど秘められた過去があるんだなと思って見ていましたが、秘めていただけで別に大した過去でもなかったですし。まあ性格の変わった女でも、容姿さえ良ければセックスはできますし男友達に優越感を抱けるから男は付き合いますし、他に同じレベルのルックスの女を作れそうになかったら「癒してあげたい」とか言って性格改善に努力するのももっともですから、別にいいんですけどね。

評価:★3/(★5で満点)

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