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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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京都文化博物館で開催されている《源氏物語千年紀展》が日曜日まで!

あわてて行ってきました。

と、そのことを書こうと思っていたところ、

哀しいニュースが飛び込んできました。

 

作家・氷室冴子さんの死去。

 

私が氷室さんの小説をはじめに手にしたのは、小学生の時でした。

姉の本棚にずらりと並んだピンクの背表紙。

コバルト文庫は、当時の私にはちょっと大人っぽかったのですが、

こっそり持ち帰って読みました。

たぶん、『ざ・ちぇんじ!』だったかなあ。

『とりかへばや物語』をモチーフとした作品ですが、難しくて、あんまりよくわかりませんでした。

でも、そのあと読んだ『なんて素敵にジャパネスク』、これがめっぽうおもしろい。

それからの私は平安にめっきり傾倒し、

十二単を見るだけでドキッとしてしまうほどハマってしまいました。

『源氏物語』に興味を持ったのは、『ジャパネスク』のおかげ。

『シンデレラ迷宮』で知った、ジェイン・エアの清冽な生きざま。

『白い少女たち』『さようならアルルカン』の少女たちの苦悩に思いを沿わせた思春期。

はじめて原文で読んだ古典は『とりかへばや物語』。

古事記をすらすら読めたのは、『銀の海 金の大地』が大好きだったから。

 

氷室冴子さんの作品に触れていなければ、

今の私はいなかったと思います。

コバルトを手にするには恥ずかしい歳になってしまったけれど、

続編が出たら買うつもりだった作品はたくさんあったのに、

51歳という若さでの急逝でした。

 

ご冥福を心よりお祈りいたします。

 

司馬遼太郎に三浦綾子、そして氷室さん。

青春をともに過ごし、心の支えとしてきた作品を産み出した方々が、

次々と天に召されていきます。

時の流れの無情さとともに、

幾年経ても変わらない感銘を、心に刻みつけておきたいと思います。

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