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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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ザ・ビーチ

この映画で良かったのはピピ島の映像だけです。

 

r081445273L.jpg ★★☆☆☆☆☆☆☆☆

監督/ダニー・ボイル

出演/レオナルド・ディカプリオ 、ティルダ・スウィントン 、

     ヴィルジニー・ルドワイヤン                

                 (1999年・米)

 この映画は、公開時にかなり評判が悪かったのを覚えています。だから僕もその世論を信じて今まで見てなかったのですが、もしかすると自分は変わり者だから、こういうみんなが面白くないと言う映画の方が面白いと感じるかもしれないと思い、気まぐれで見ることにしました。しかし、結論を言うと、みんなと同じく僕も面白くなかったです。

 ストーリーは、主人公であるアメリカ人の青年リチャードが、伝説の楽園の地図を手に入れるところから始まります。その後リチャードは友人達とその秘密の楽園を捜し求め、美しい島を発見します。その島で主人公が体験する様々な出来事が描かれています。

 この映画は島に着いてからの人間模様がメインのストーリーです。僕はこの映画を見る前に、「楽園っていったいどんな風に描かれているのだろうか?」という「楽園」の神秘性や奥深さの描写にけっこう期待していたので、楽園の実態が自然が豊かな普通の島に若者達が群れて生活してるだけということが序盤で判明し、かなりがっくりしましたね。

 どう見てもそこが楽園には見えないですしね。別に特殊な力が働く土地でもないから、仕事はしないとだめですし、人間関係のしがらみはあるし、娯楽といえばスポーツぐらいで退屈そうですし、もちろんガスや電気や水道などは使えないから不便ですし、一般的な社会と比べて何のメリットも感じなかったですね。ただ自然が豊かなだけです。そりゃ普段都会に住んでいて気晴らしに1週間ぐらい暮らすだけならいいですけど、こんなとこで絶対定住はしたくないですね。島の人々は生活を楽しんでいるように描かれていましたけど、かなり違和感を感じました。

 監督が、この島は一見楽園なんだけれども、実はゆがんだものなんだよと言いたいのは分かります。暮らしているのは白人の若者ばかりですし、大きなケガをした人は邪魔だから捨てられますしね。楽園への憧憬と楽園という言葉の持つ本当の意味の対比や、孤立した場所での人間の集団生活の難しさを描きたかったんでしょう。しかし、最初っから僕にはこの島の生活を全然素晴らしいものだとも楽園だとも思っていないので、イマイチピンとこなかったですね。
 
 おまけに、途中主人公が急にジャングルでゲームのキャラクターみたいになる描き方をしてるところがあって、これがかなりしょうもなかった。今までに見たことない描写の仕方で、新しい何かをしようという監督の姿勢は分かるんですけど、失敗でしたね。


 失敗といえば、ディカプリオもこの映画に出たのは間違いなく失敗でしょう。僕は「ギルバート・グレイプ」で彼をかなり評価したんですが、その後見た「タイタニック」、「ギャング・オブ・ニューヨーク」でちょっとずつ下がって、この映画で急降下してもうマイナスになりました。

 まあ、この映画は★2ぐらいですかね。良かったのは映像だけですね。ピピ島の海岸はむちゃくちゃきれいだったですし、住みたくはないですが行ってみたくはなります。しかし、僕ですらこの映画の舞台がピピ島だと知っているんですから、実際にピピ島に行っても観光客とかがたくさんいててビーチは踏み荒らされているんでしょうね。

 

 


 


<ザ・ビーチ 解説> 

 レオナルド・ディカプリオ主演のミステリアス・アドベンチャー。自由を求めて未開の地へ冒険する主人公を通し、現実感を喪失した現代のリアルな若者像を浮き彫りにしてゆく。ロバート・カーライル共演。監督に「トレインスポッティング」のダニー・ボイル。刺激を求めてタイのバンコクへとやって来たリチャード。彼はそこで、地上の楽園と呼ばれる伝説の孤島の噂を耳にする。

 

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