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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―

近所の映画館をのぞいてみると、おお、まだやっていた!

上映は1日1回夕方のみ、しかもレディースデー。吉川『三国志』ではやっと孔明が出てきたところ。でももう行くしかない。

観客は10人いるかいないか・・・。

真ん中の真ん中で、じっくり堪能することができました。

やっぱりこの迫力は映画館で観なくては。

2時間半の長丁場も感じさせない圧巻の連続でした

霧にまぎれてかかしを囮に使い不足している矢を調達したり、孫権の妹が男装して敵軍にもぐりこみスパイとして暗躍したり、ひとり敵陣にやってきた周瑜の妻が曹操の茶を点てつつ風向きが変わるまで時間を稼いだり・・・。

しかし目を瞠るべくは戦の場面。

古代の戦いには戦車も飛行機もありません。すべては矢と刀、そして肉弾戦。

これでもかと火薬を駆使した、80万を超える兵士たちのぶつかり合いは壮絶でした。

戦とは英雄たちが智謀をめぐらし計略を謀った国同士の争いではなく、

多くの兵士たちが親を思いながら血を流し死んでいく、ということ。

戦場を去る周瑜が最後に言い残した「勝者はいない」というつぶやきが、

いつの時代も変わらぬ戦争という行為のむなしさを表現しているように思います。

本を読んでいるだけではなかなかイメージのしづらいキャラクターたちがいきいきと描かれているのも、興を惹かれました。とくに、曹操。前編では権力欲強いわ、人妻に横恋慕するわ、あまりいいところはなかったのですが、今回は非情なところを見せながらも部下思いの人望篤い人柄が描かれていて、人の上に立つ三者三様の姿が明確に分かれていました。

とはいえこの映画の主人公は周瑜と孔明なのでしょうが、孔明は戦いが始まっても後方にひっこんでいるので出番がなく、あまり見せ場がありませんでしたね。天気予報も奇跡的慧眼のはずなのですが、あまり立派に見えませんでした・・・。

ラストもさっぱりした別れ方でした。その後が語られなくてよかったです。実は、三国志の結末を知らないので。吉川本で楽しみに待つこととします。

評価:★★★★☆

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