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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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アポカリプト

メル・ギブソンがマヤ文明期を舞台に描いた壮大な作品です。

男は狩り、女は子を産み夫を待つ、

人々が寄り添い、笑い合い、老爺の話に耳を傾け、音楽を奏でともに踊る。

長閑だったはずのある集落を、帝国の兵団が襲います。

殺戮、陵辱、連行の果てに待っていたのは、生贄の塔。

長く続いた干ばつを、捕虜の心臓を捧げることで、解消させようという帝国の陰謀でした。

妻子を洞窟に残してきた青年・ジャガー・パウ。

仲間の助けもあって、命からがら家族のもとへ向かう彼の逃走劇が始まります。

森を継ぐ者として育ったお坊ちゃん、当初は愚鈍な仲間を嘲笑う幼稚さもまだ残っていましたが、

父と仲間を殺され、妻子を救うために疾駆する彼の姿はジャガーの名にふさわしい強靭な体躯でした。

序盤は、村の穏やかな日常がえんえんと続き、緩慢な印象でしたが、

村の襲撃以降は、身体に力が入って、観終わった時にはぐったりでした。

表現に容赦のないメル監督、今回の作品も、拷問シーンなどはかなり過激です。

それでも、主人公の疾走と執拗な追撃の迫力は観る者を惹きこみます。

最後にスペイン船の上陸シーンがあるあたり、歴史上の正義とはなにかを考えさせられてしまいますが、

基本的には神秘と謎を秘めたマヤ文明の世界とはほど遠い、

家族愛と激しいアクションを描いた娯楽大作です。

評価:★★★★☆

 

<おまけ:ヤスオーのシネマ坊主>

 僕はメル・ギブソンは常々すごいと思っているんですよ。この映画の前に撮った「パッション」にしろ、この映画にしろ、絶対に誰も作らないような映画ですからね。前の映画は宗教的に物議を醸し出すこと確実で配給会社がみんな逃げてしまって、自己責任で資金を調達したようですし、今回もマヤ文明が舞台というのはかなりマニアックな題材です。自分の作りたいものを作るということに対して情熱を感じますね。

 しかし、この映画はそんなに面白くなかった。アクション映画としての出来は良いんですよ。車や電車のチェイスシーンをいろいろなアクション映画で見飽きているなか、「走る」ことがメインのアクション映画というのは面白いし、その走るシーンも決してショボさを感じさせずスピード感や躍動感が出ていてかなり迫力があります。撮り方が上手いんでしょうね。役者もまったく知らない人ばかりですがみんな目に力があり、きちんと目で感情を表現しているので、決して大根役者には見えません。そのへんはさすが俳優出身の監督ですね。不必要に多い残虐シーンも変態の彼らしくていいですよ。

 ただ、基本的なストーリーラインは「外敵によって家族を危機にさらされた男が、自身と家族を救うために奔走する」ということですからね。「家族愛」がテーマというベタさについてはメル・ギブソンは何も考えなかったんでしょうか。たぶん彼は今回はアクション映画が撮りたいという気持ちだけで、ストーリーについてはあまり考えなかったんでしょうね。

 歴史的なテーマについてもあまりにもマヤ文明がベタに悪に描かれているので強引さを感じました。僕はこの時代に知識も興味もないですが、ここまで漫画チックに悪に描かれるとマヤ文明を地道に研究し、その文明に対して敬意を払っている人に失礼だと思いますね。メル・ギブソンはこだわりの人だから時代考証とかはきっちりやっていると思うんですよ。だから逆に意図的に歴史を捏造したと思わせるような表現をしてはいけないですね。

評価:★3/(★5で満点)


 

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ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
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