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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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『陽だまりの樹』

静かに丁寧に、激情と動乱を描く、地味ながらも秀作でした。

12話もあるから原作をじっくり描いてくれるだろうと思っていましたが、おおよその筋は沿っていたものの、やはりあのボリュームは消化しきれなかったようです。それでも、原作ものにありがちなエピソードやキャラの相違が気になるところはほぼなく、最終回までうまくまとめていました。

最初はイメージが違うなあと思った万二郎・良庵の両俳優ですが、回数が進むにつれてそのふたりにしか見えなくなっていました。とくに市原隼人は殺陣も上手で、案外時代劇でもやっていけるのではと感じました。凛々しい武士の姿がハマっていて、来年の大河あたり、出番があるかもしれません。幕末・明治モノですし。

女優さんたちは主演俳優に較べてちょっと見劣りしたかなという感じです。おせきに主眼を置いていたせいか、お品や綾の描き方は薄かったのですが、万二郎に関わる女性はほぼ全員不幸な目に遭うというのも原作を読んだ時に印象深かったので、少し残念でした。とくにお品。これは陶兵衛とお品に肩入れしすぎたせいかもしれませんが。

大河ドラマで放送しても遜色ないレベルの原作なだけに、思ったよりも駆け足だったのが残念でした。

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ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
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