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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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突入せよ!「あさま山荘」事件

あさま山荘に人質を取って立てこもった連合赤軍と警察機動隊の緊迫感あふれる対峙と鉄球による破壊・突入の迫力ある生中継は、当時を生きた人間には忘れられない昭和の代名詞的事件であり、両親もその映像を目にすると必ず「あの時は」と語りだします。

その事件に複雑な背景があることは知識としてなんとなく知っているので、「あさま山荘事件を描いた映画」として観れば、物足りなさが残っただろうとは思います。しかし、リアルタイムにその中継を観て衝撃を受けていないこと、赤軍の思想や行動があまりにも今の人生とかけ離れていて現実として実感できずにいることから、この作品を純粋な娯楽として楽しむことができました。

同じ原田眞人監督作品である『クライマーズ・ハイ』が、日航機墜落事故そのものではなく、事故を追う新聞社と記者の激動の数夜を描いていたように、こちらも事件そのものではなく、犯人を捕らえ人質を無事救出することを目的とした警察内部の様相を軸に描かれています。

警察庁と長野県警との確執、板挟みで悩む指揮官、大事件にもかかわらずまとまらない指揮系統や準備不足、飛び交う怒号にタバコの煙。いっこうに進展しない包囲網に、肉体的にも精神的にも疲弊していく中、世論の代弁者を気取るマスコミの追及は収まらない。結末を知っているにもかかわらず、前半の気の抜けるBGMと気の抜ける会議の場面から一転、突入から逮捕への経緯は息を呑む緊張感がありました。

ただ原作者が警察庁側の人間であるという点から、ことさら長野県警幹部を無能視した描き方には偏りがあるのではとも感じます。

専門用語の多い台詞は聞き取りにくかったですが、逆にリアリティを強調していました。役者もユニークな面々を揃えており、最後にちらとしか映らない犯人役まで著名な俳優を配していたのには豪華さを感じます(だからこそ、同じキャストで犯人側の視点から籠城を描いたスピンオフがあっても面白いと思いました)。

それにしても、警察内部の確執や混乱は事実あったのでしょうが、事件から30年を経た現在、それらの問題は解消されているのかというと、日々報道を聞くにつけ答えは否だと感じます。長らく指名手配されていたオウム事件の実行犯が追われています。逮捕の日も近いでしょう。しかしなぜこんなにも時間がかかってしまうのか? また日々その数を増やしている未解決事件が決着を迎える日は来るのか? 内部を知らぬ守られているだけの市民はそのありさまに疑念を抱いてしまいます。

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