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原作を読んだ時、「これはスゴイ!」と感動しました。
絵柄はなんとゆーか、個性的ですし、テーマもギャンブルという、あまり興味の持てないジャンルだったので敬遠していたのですが、読んでみたが最後、ストーリー展開が斬新で一気に惹きこまれました。
しかし、おもしろければ人気が出る→人気が出れば連載が続く→ネタ切れに陥る、のが連載漫画の宿命。とくにカイジのようなあっと驚く逆転一発ネタものは、続けば続くほど苦しくなるのが定番。第1部のおもしろさはカイジの言葉を借りれば「悪魔的」なのですが、第2部から雲行きが怪しくなり、第3部では一夜の麻雀勝負に13巻費やすという暴挙に躍り出たため、もう読むことはないと思われます。
この映画は作品の最高潮(早)である第1部と第2部序盤のイイトコ全部を盛り込んだ贅沢な作りとなっております。
まず、ギャンブル船エスポワールで行われる「限定ジャンケン」。誰でも知っている至極簡単なゲームに、あらゆる心理戦の醍醐味が詰まっていることに驚きました。映画ではかなりスピーディですが、これは尺があるため仕方ないかもしれません。原作はカイジがじっくり策をめぐらせる過程が描かれ、バランス理論の洞察力には目からウロコでした。
敗れたカイジが労働に従事する地下施設の登場は、原作と順序が逆なのですが、カイジを語る上では欠かせない場面があります。それは、給料日にカイジが誘惑に負けて缶ビールを呑んでしまうところ。映画でもカイジ役の藤原竜也が本当にビール断ちをして撮影に臨んだそうですが、本当においしそうなんですよね・・・。
カイジを蛇の道に踏み込ませようとする班長役に松尾スズキが配されていますが、これはベストチョイス。本当にイヤラシくて、いい感じです。チョイ役なのがもったいなさすぎ。チンチロリン対決が観たかったなあ。
ひとつ不満を言うならば、ビールがスーパードライでなく一番搾りだったこと。スポンサーの関係でしょうが、あのシーンのせいで我が家の冷蔵庫に毎日スーパードライが入っていたことを思えば、やはりあそこはスーパードライにしてほしかった!
カイジは地上に出ることに成功しますが、大金を得るためには高層ビルでの鉄骨渡りに挑戦しなければならない。一歩踏み間違えれば即死のブレイブメンロード。ここでなんと松山ケンイチ登場。豪華すぎます。
十人の挑戦者の中、唯一生き残ったカイジ。あたら命を散らした仲間たちのため、カイジは企画者である利根川に勝負を申し込みます。そのゲームはEカード。組織きっての切れ者である皇帝利根川に、ダメ男の奴隷カイジが最後の心理戦に挑みます。
利根川役は香川照之。見た目は漫画のイメージと違いますが、互いに手の内を読み合うカードゲームで無表情を貫きながらも、際限なく葛藤をくり返す独白は、動きの少ないクライマックスにおいて、観客に最高の盛り上がりを与えました。やはり鉄板土下座はなかったですね。無理ないか。
勝負に勝ち大金を手にしたカイジ。でも最後に笑うのは・・・。
カイジをギャンブル船に押し込んだ借金取りの社長、漫画ではうだつのあがらない風体の男でしたが、映画では天海祐希が演じています。男くさい画面に華を添えてくれました。痛快です。
現代風に軽くて、しかし勝負をかける時には変貌する藤原竜也。また同じ配役での続編が観たいです。
評価:★★★★☆(3.8)
~ヤスオーのシネマ坊主<第2部>~
僕は原作が大好きで、この映画は原作の一番の良さである心理戦の駆け引きの雰囲気はあまり出せていないんですが、あまりそういうところにこだわりすぎると動きがなくなってしまい退屈な映画になってしまいそうなので、映画としてはこれぐらいでちょうど良いのではないでしょうか。ストーリーも原作を超圧縮しているため流れがかなり異なっていますが、特に違和感はなかったです。エスポワールだけ少し引っかかりましたけど。原作のカイジは裏切られるんですが、映画のカイジは仲間のために自らも敗者となります。カイジは筋は通す男ですが、ここまで献身の精神があるようには見えないですからね。
あと、カイジが地下の収容施設に入れられた時に、班長大槻に最初にプレゼントされたビールのサイズが標準サイズだったのは我慢できないですね。あれはミニ缶だからこそ班長の「カイジをハメてやろう」という悪意がギラギラしていて良かったんですよ。このへんは特に原作と変える必要はまったくないところですから、あえて変えているのは残念です。逆に、利根川の焼き土下座やカイジの耳を切るシーンは、原作ではかなりのインパクトがあるんですが、娯楽映画としてこのシーンを入れるのは難しいんでしょうね。
原作の金融屋の遠藤を女性の天海祐希が演じたのは僕のなかではかなりのヒットです。むしろ原作より良いのではないでしょうか。天海祐希は全然好きじゃなかったのですが、映画を見た後は好きになったぐらいですからね。連帯保証人になってしまって脅されるカイジがむしろうらやましいぐらいです。山本太郎演じる船井や松尾スズキ演じる班長大槻もすごく良かったですね。エスポワールや地下収容施設はストーリーがかなりカットされているので必然的に面白さもカットされているのですが、この二人のおかげでそれなりに楽しめるものになっていたといってもいいぐらいです。
そういうわけで、原作好きの僕でもそれなりに楽しめる娯楽作品としていい映画なのですが、今回かなりいいとこどりをしてしまったために、製作が決定されている続篇がどうなるのかが気になりますね。この映画で描かれていなかったのは、パチンコ沼、地下チンチロ、ティッシュ箱クジ引き、17歩ぐらいでしょうが、パチンコ沼はオチだけ今回引っ張ってしまっていますし、地下チンチロは地下収容施設をもう描いてしまっている以上今更感がありますし、ティッシュ箱クジ引きは地味だし、17歩は面白くないですし、どうするのでしょうか。かなり上手なアレンジが求められると思います。
評価(★×10で満点):★★★★★★★