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監督は33歳の若さでこの映画を作り上げ、アカデミー外国語映画賞を受賞しました。
舞台は東西冷戦下の東ドイツ。
国家保安省(シュタージ)の怜悧冷徹で優秀な職員・ヴィースラーは、
東西を行き来する人気劇作家・ドライマンの生活を監視する任務を負います。
家じゅうに張り巡らされた盗聴器に気づくこともなく、
恋人で女優のクリスタとともにいつもの生活を送り続けるドライマン。
ヴィースラーは表情ひとつ変えず、彼らの生活を余すところなく聞き届けます。
報告書を仕上げる硬質なタイプライターの音に変化が生じたのは、
友人の死を知ったドライマンが、彼から贈られたピアノ曲を爪弾いた瞬間でした。
黙して語らぬ働き蜂が、その指に初めて感情を宿しました。
監視を強いる国家。
忠実に生きてきた半生。
任務の中で溜め続けてきた孤独は、ヘッドホン越しの彼らの日常が癒してくれました。
今まで知り得なかった愛と自由と思想と芸術。
いかなる時代であろうとも、人々の心に息づいてきたそれは生きていくための栄養剤。
しかし、思うように生きることを許さぬ時代に、
ヴィースラーもドライマンもクリスタも、翻弄されていきます。
その荒波が去った頃。1冊の本と出会ったヴィースラー。
自己を取り戻した彼の最後の言葉は、
心をあまねく満たす栄養剤でした。
評価:★★★★★
<おまけ:ヤスオーのシネマ坊主>
この映画は良い映画だとあらゆる方面から聞いていたのですが、実際に見てもやっぱりいい映画でしたね。僕の映画ランキングベスト10には入らないですが、ベスト50なら入ってくると思いますよ。ラストシーンだけでランキングを10は上げましたからベスト40ぐらいでしょうか。並み居る上位陣の中で10上げるぐらいですから、この映画のラストは相当秀逸です。どんでん返しとかそういうのじゃなくて、主人公の短いセリフ一つで終わるあっさりしたラストなんですが、その言葉の重みがずしんと心に響いてきます。
ストーリーを簡潔に言うと、冷徹なシュタージの職員ヴィースラーが、劇作家ドライマンとその恋人クリスタを監視する仕事をしているうちに、どうしたことか心境に変化が起きて、彼らに善いことをする話です。これだけを聞いたら、映画を見てない人はヴィースラーはどうして彼らの味方をするようになったのかと疑問に思うでしょうが、はっきりした答えは映画を見た人もわからないと思いますよ。ただ、殺風景な建物に住みマズそうな夕食を一人で食う寂しい生活をしているヴィースラーが、愛情等の人間の自発的な感情に裏打ちされたドライマンとクリスタの会話をずっと聴いているわけですから、そりゃ何かしらの影響は受けるでしょうね。ちなみにヴィースラーが完全に人間性を取り戻したと思われるシーンは、「この曲を本気で聴いた者は悪人になれない」という「善き人のためのソナタ」をドライマンが演奏するのを聴いてヴィースラーが涙するところなんですが、ここはこの映画でラストの次にいいシーンです。ヴィースラーに負けず劣らず冷徹な僕も感動してしまいましたから。
その冷徹な僕は東ドイツの「シュタージ」という社会体制がいかに極悪非道なことをやっていたかということにはまったく興味がないし、社会主義に対する批判精神なんかこれっぽっちもないですが、どうもこの映画の監督はあるみたいで、クリスタに言い寄る大臣が漫画に出てきそうな典型的な悪人キャラでちょっと人物描写が単純だなと思ったし、クリスタ自身も東ドイツの社会体制に翻弄され犠牲になったキャラクターとしか扱われていないような気がしましたね。クリスタを演じた女優はかなり演技が上手だったし、クリスタの女心をもっと掘り下げていけばよりいい映画になっていたと思うんですけど。ドライマンに対する愛情と女優に対する執着心のどちらが彼女にとって重いのかが最後まで分かりませんでしたし。まあ、この映画の悪いところといえばそれぐらいです。あとは完璧です。
もちろん点数は満点です。それ以外付けようがない。当然というべきかこの映画はアカデミー外国語映画賞を獲っているんですが、この年の日本の出品作品は「フラガール」だったみたいですね。「フラガール」は普通に面白かったし、決して悪い映画じゃないんですが、アカデミー外国語映画賞は間違いなく獲らないであろう庶民受けする娯楽作品なので、ここは「ゆれる」で勝負してほしかったですね。
評価:★5/(★5で満点)