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かにづくし、再び。
行先は丹後・木津温泉。
切符を取るのが遅れて、大阪から豊岡経由で行くことになりました。
豊岡から乗ったタンゴエクスプローラーは、座席カバーが丹後ちりめん。乙ですな。
城崎のような喧騒はなく、なんともひっそりとした風情の駅でした。
さて、ごはん。
じゅうぶんお腹をすかせて挑んだつもりでしたが、やはり多すぎた・・・ゆずのゼリーが異様においしく感じました。
ごはんのあとはお風呂です。
お宿には貸切風呂がふたつあり、空いていたらいつでも入って良いとのことなのですが、幸いふたつとも空いていたので両方堪能できました。大浴場もなぜか貸切状態。しかし露天風呂の庭の隅に立つ大きな行基の石像がなんとも不気味で、早々に上がってしまいました・・・。

青森県出身の松山ケンイチが津軽弁まるだしで大爆発です。
松ケンが演じるのは「町の変わり者」である陽人。彼がひとめぼれしたのは保育士の町子。彼女は恋人を亡くし、東京から青森までやってきた。強引なアタックに目もくれない町子。しかしあることがきっかけで陽人に奇跡が起きる。
なんとも複雑な感情に支配される導入部です。おそらく陽人には何かしらの病名がつくのでしょう。母親も、医師も、農協の職員も、時には陽人の力になり時には突き放し、身内として一定の距離感を保っています。しかし観ている側としては、いきなり陽人のスタンドプレーを目の当りにしてすぐ彼の状況に気づくものの、どう受け止めて良いのかわからない。倫理観は彼への不快感を否定する、しかし松ケンはせいいっぱい素の陽人を演じている、それは後々変身した陽人とのギャップとして活きてくるわけですが、ここで陽人のキャラクターをなんらかのかたちで受容できなかった時点でこの作品と私との間に最初の溝ができてしまったのだと思います。
生意気な子ども、葬儀の風景などは同じく田舎を舞台にした『松ヶ根乱射事件』のようなねちっこさがあります。麻生久美子と変化後の陽人がふたりで自転車を押しながら歩く映像などは、本当のラブストーリーのような都会的美しさがあるのですが、この作品を観ていると清濁が次々と入れ替わる不思議な感覚に包まれます。
しかしどちらかというと濃いのは「濁」のほうで、なんとも胸の悪くなるような描写が多く、特にラストシーンは唾棄したくなるほどに不快でしかありませんでした。
制作した側にはもちろんなんらかの意図があり、脚本にもそれを匂わせるような言葉がたびたび出てくるのですが、それをなんともウルトラミラクルなかたちで表現するあたり、特殊な感性の持ち主なのだろうと思います。まあ、今後の作品には注目していきたいと思います。
町子の元彼である「死体」が、首なしであるにもかかわらず異様なオーラを放っていると思ったら、ARATAが演じていたのでした。ナルホド、個性派の中でも群を抜いて個性を放っていた松ケンと対峙していても、首がなくても、負けず劣らずの存在感でした。
評価:★★★☆☆

こんな生活、いいなあ。うらやましいなあ。
そう思ってしまう時点で、これは一種の理想形ファンタジーなのでしょう。
実際、兄弟ふたりで暮らしていると聞いたらどうなのか。夜な夜な横浜ベイスターズのスコアをつけて勝ったら紙ふぶきを飛ばす兄弟ってどうなのか。30超えてジャンケングリコで商店街を行く兄弟ってどうなのか。蔵書や模型やゲームで満載の家はどうなのか。お酒がだめでコーヒー牛乳が好きってどうなのか。
しかし、なぜだか心地いい。カレーパーティーに誘われたら行ってみたいと思ってしまう。海でじゃれる30男を微笑ましいと眺めてしまう。荒れて帰ったら塩むすびを出してほしいと思ってしまう。
兄弟は日々の生活に感謝するように、いとおしむように生きている。
一見満ち足りているようであって、しかし欠けているものがある。それが、恋。なんとなく誰かを好きになってみたいと思う。好きになったような気がする。それでも他者との縁はほんのちょっとした偶然とすれ違いで結ばれたり結ばれなかったり。兄弟とは言葉を尽くさずに通じても、他者とはそうもうまくいかない。模型はうまく飛ばせても、女性の扱いには手をこまねく。そんな不器用な男ふたり。ちょっとした人生のひっかき傷をなめあって、また元どおりの日々を生きていく。
なにか大きな感銘を受けるわけではありませんが、たまにはこうして心を洗われるのもいいものです。
なんとなく、洗濯ものを丁寧にたたんでみたり。散らかった部屋を片づけてみたり。本を読んでみたり。日本茶を入れてみたり。それだけでも、観た価値がありました。
それにしても、沢尻エリカはかわいかったなあ・・・。
評価:★★★★☆(3.2)
もはや恒例となっている、一年の幕開けは箱根から。
今年こそ、の気概でスタートから15分の遅れで観戦しました。
おめでとう早稲田大、13回目の総合優勝。18年ぶりというのが意外です。古豪ならではのプレッシャーも多くのしかかる中、火中の栗を拾った渡辺監督の涙が印象的でした。
往路は、なんといっても2区東海大・村澤選手の17人抜きが圧巻でした。そもそも下位でたすきを繋がないとできないごぼう抜きですから本人に複雑な気持ちのあることは否定できないでしょうが、留学生もいる中での区間賞は天晴れ。来年以降も楽しみです。
2分54秒差、3年目で最も少ないタイム差で3位スタートした東洋大・柏原選手。不調が伝えられていた中、はらはらしながら見守っていたら、こちらの心配をよそに、あっという間に抜き去られた東海大・早川選手も苦笑い。さらに首位早大も追い抜いて、今年もトップでゴールテープを切りました。最後はもう力というより気持ちで駆けていたように見え、インタビューでの涙には胸迫るものがありました。怪我だけでなく、全国から注目を浴びて、20歳の学生には辛いこともたくさんあったのでしょう。それでもなお結果を残してしまうその鋼のような侃さ。彼の山登りがもうあと一回しかないことを思うと、今から淋しくなってしまいます。
その柏原選手に乱されることなく、早大・猪俣選手が堅実に守った27秒差は、早くも山下りで実を結びました。転倒してもなお喰らいつき、首位を取り返した高野選手。絶対に前に出てやるという思いが伝わりました。
差をつけられてからもなおじわりじわりと追っていく東洋大。首位を走るランナーの背中越しにやがて姿が見えた時にはもしや再逆転もあるのかもと興奮しました。勝者との差は箱根史上、最も少ない21秒。自分があと少しタイムを縮めていれば、10人誰もが悔むそのわずかな差が、昨年より大幅にスピードアップした誇るべき笑顔を涙に変えてしまいました。
首位争いだけでなくシード権争いも熾烈でした。ゴールを目前に何度も入れ替わる順位。最終的に残った4校、シード落ちはわずかに1校。もう全員にシードをあげて、と言いたくなるような誰もが死力を尽くした懸命の走りでした。國學院大の1年生・寺田選手がコースを間違えた時には思わず「あーっそっちとちゃうー!」と叫んでしまいましたが、ゴール後、仲間の言葉でシードを手にしたことを知り安堵したのか「あぶねー!」と発した彼にテレビの前で笑みをこぼしたのは私だけではないでしょう。
ようやくつかんだシードを再び手放すことになってしまった城西大。たった3秒が命運をわけてしまうとは残酷な現実です。また来年・・・というには軽々しいかもしれませんが、再び箱根路の風に黄色の襷がなびくことを期待します。
6位でゴールした中央大。最終区でリードは譲るまいとフラフラになりながらゴールした塩谷選手が印象的でした。それを追っていた拓殖大はこれからの飛躍を予感させます。来年は首位争いに姿を見せるかもしれません。
繰り上げスタートの危機を脱し、レース中何度も襷を握りしめながら19位でゴールした上武大アンカー・地下選手が、走ってきたその道に向かい深々と一礼した姿には胸を打たれました。最初で最後の箱根。こみあげるいろんな思いとともにあまさず走り切った1時間13分39秒だったのでしょう。
来年は二強に割って入るだろう秘めた力を予感させて今年の箱根を終えたのは駒澤大。明治大も古豪復活のきざしありです。一方どうしたことかと気になるのは唯一繰り上げスタートとなった日大。チームの立て直しには時間がかかるかもしれませんが、留学生も含めて、再び力強い伝統の走りが観られる日の来ることを願います。
鬼は笑うかもしれませんが、来年の箱根、今年は出場できなかった順天堂大、亜細亜大、大東文化大などの復活はあるでしょうか。柏原選手の最後の箱根、もちろん他の4年生も、新たなルーキーの登場も、すべてが今から楽しみな2012年の1月2日です。