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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)

この映画はエリザベスⅠ世が黄金時代を迎えるまでのお話ですが、

今をさかのぼること10年前、同じケイト・ブランシェットが主演した『エリザベス』を観に行きました。

エリザベスが即位するまでのお話なのですが、

「は? カトリック? プロテスタント? どことどこが戦ってんの?

今の誰? みんな同じ顔でわからないよー」の2時間。

とりあえず、エリザベスが悲恋を乗り越え、

「もう男なんて必要ないわ私はバージン・クイーンよと決意したらしい」

ことはわかりました。一緒に観に行った友人もなべてこの感想。

世界史はまったく興味なく、テスト前に丸暗記してやり過ごしていただけの教科、

歴史的背景を知っていたら、もう少し楽しめたのでしょうけど。

勉強していないのは今回も同じ。

ただ、たまたまイギリス王室に関連する映画『ブーリン家の姉妹』の公開が近いこともあり、

雑誌に人物関係図が載っていたので、

「は? メアリー? 誰? なんでこんな敵多いの?」にならずにすみました。

今回もエリザベスは悩めるひとりの女性。

見るからにワイルドでステキな海賊ローリーが現れ、女王の心は乱されます。

豪華なドレスに豊かな巻き毛、でもそれはただの虚飾にすぎず、

すべてを剥ぎ取れば、ただ愛し愛されることを切望するただの女。

国に捧げたこの身、個人としての恋は許されない。

ひとり苦悩に眠れぬ夜を明かす彼女の心を知ってか知らずか、

ローリーは女王付きの女官ベスと関係を持ち、やがて妊娠。

真実を知らされた女王は嫉妬に怒り狂い、ベスを殴打しローリーを幽閉してしまいます。

それでも忍び寄るスペインとの開戦の足音に、女王は女王としての責務に奮い立ち、

先頭に立って兵士を鼓舞し、イギリスは歴史的勝利をおさめます。

このあたり、歴史を知らないとあまり楽しめません。

恋と責任感のはざまで苦しむエリザベスの姿を見ていたかったのですが、

少し中途半端でした。

ラストシーン、ベスの子どもを抱きながら微笑む女王の表情は、とても穏やかで、

慈愛に満ちていました。

10年の時を経て、ケイト・ブランシェットも貫禄をつけたなと思いました。

女王の黄金時代はこれから。

また新たな時代を観たいと思うのは私だけでしょうか。

評価:★★★☆☆

 

<おまけ:ヤスオーのシネマ坊主>

 

 この映画は激動の歴史を描いた壮大な作品と思って観たんですが、全然違ってて、けっこうスケールの小さい映画なんですよ。エリザベスの感情や生き方については非常に細かく描写しているなと思います。女王エリザベスだって恋に恋焦がれ恋に泣く一人の女性なんだよ、ということはとてもよくわかりました。しかし何てったって一国の王だから、女性としての感情は捨てていつも毅然とした態度で生きていかなければならないのが辛いんだよ、ということもとてもよくわかりました。わかるんですけどねえ、はっきり言ってそんな女々しい感情に僕はまったく興味がないですからね。

 僕は自分を王にしてくれるのなら、別に恋愛なんてできなくてもいいですからね。性欲の解消はハーレムを作ればいいだけですし、好きな男にわざと侍女を近づけ、侍女を自分に置き換えて想像の世界で恋愛を楽しむなんて、僕があと100年生きても理解不能だと思います。ちなみにエリザベスが好きな男とキスした後に、「死んでもいい」とか言っているシーンがあるんですが、これなんて僕は切なくて泣けるどころかちょっとムカつきました。そういう庶民にできて王ができないことで死ぬほどの喜びを感じるより、王にしかできないことで死ぬほどの喜びを感じられることがいっぱいあるだろうからそっちにチャレンジしろよ、と思いますね。言っときますが僕は本気で人を好きになったことがない心の冷たい人間ではないですよ。人間は誰しもその人の置かれている環境や立場によってできることとできないことがあるんだから、できることで生きている幸せを感じろよということです。何回も言いますが僕が王ならハーレムを作りますし。

 さや氏がセレクトする映画の中には、「テラビシアにかける橋」のように絶対に自分では選ばないが実際見たら良かった映画もあるんですが、この映画のように絶対に自分では選ばないしその選ばないという判断が正しい映画もあります。まあ、この映画ほど女性向きの映画だと言い切れる映画もなかなかないですからね。仕方ないです。衣装とかメイクとか建築物とか装飾品とか女性が楽しめそうなところはかなり気合が入っていますが、男が好きそうな海戦シーンはむちゃくちゃ短いですし。

 エリザベス以外のメアリ・スチュアートやウォルシンガムは何の見せ場もなかったです。ウォルシンガムなんてジェフリー・ラッシュという演技の上手な役者を使っているのに、もったいないですね。彼らをもうちょっと突っ込んで描けばこの映画はけっこう面白くなったはずなんですけどね。けっこう登場人物が多くて、それぞれのエピソードはとりあえずは詰め込まれているんですが、ストーリー全体としては散漫な感じがしました。結局は冒頭で言ったようにエリザベス一人だけが目立っている映画です。彼女を演じたケイト・ブランシェットはかなりおいしかったと思いますよ。逆にジェフリー・ラッシュはこんな映画出なけりゃよかったと思っているでしょうけどね。

 評価:★2/(★5で満点)

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ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
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